第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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hahaha、お義父さん、いくらなんでもそれは無理ですよ。 もしかしてそれって婿イジメですかー? それともボケちゃったんですかー? 笹はさっき食べたでしょー。 って、冗談です。 すいません。 「いやね、バラカスくらい身体がデカけりゃ、宝石の丸のみくらい楽勝だろうけどさ。自分、ヒト族だし。そんなデカいの呑んだら喉傷つけちゃうし、傷ついても生者だからオートリカバー適応外だし、ホント無理」 宝石(ソレ)を吞んで、何を得られるのか知らないが、胡桃の殻ごと吞むヒトなんていないだろ、フツー。 「ケッ! じゃあやらねぇよッ! 宝石(コレ)吞めば、音声のみだが地球と黄泉で通信出来るってのによッ! マジョリカと話だって出来るのによッ! あ゛ーーー! やらねぇわッ!」 なに!? 宝石(ソレ)吞むとマジョリカと話が出来るの!? 「だーーーッ! しまわないでーーーッ! もーお義父様ったらッ! 先に教えてくださいよーーーッ! わぁお! うっまそーーー! いッただきまーーーす!」 この時の自分に吞めないモノは無かったと思う。 リバースしそうになりながら、喉と食道をガリガリいわせながら、それでも気合で吞みこんだ。 「イッテェ……お、おい! バラカス吞んだぞ! これで現世に戻ってもマジョリカと話が出来るんだな!?」 胃カメラ検査の100倍は辛かったんだ。 これでもし、ウソぴょーんなんて言われたら灰になるかもしれない。 「ケケケケケケッ! やっぱ面白れぇな、オマエはよ! もうちょっとゴネたら小さくしてやろうと思ってたのに、馬鹿正直に吞んじまった!」 「なっ! 小さく出来たのかよ! バラカス! からかうものいい加減に、」 「まーまー待てよ! 別にからかったんじゃねぇよ。原寸で吞んだ方が通信は安定するんだ。出来りゃあ、そのままで吞んでほしかったんだよ。小さくすればその分、不安定になるからな。つかよ、別にマジョリカ専用回線って訳じゃねぇぞ? 黄泉の国にいる誰とでも通信できるんだ。俺や白雪とだって話はできる。淋しくなったら俺を呼べ! いくらでも遊んでやるさ!」 通信の安定……? ん、まぁ、そういう事なら仕方がないか。 すっごい苦しかったけどね! 「で? 現世に戻ったらどうやってマジョリカと話せばいいんだ? やり方を教えてくれ! 遠距離になっても話が出来ればだいぶ違う」 なんだか少し希望が湧いてきた。 現世に戻って、自分の寿命がどのくらい続くのか分からない。 出来るだけ短くあってくれる事を祈るばかりだが、少なくとも数年は離れるのだ。 その間、抱き合う事は出来なくても、言葉で想いを伝え合えるなら、きっとそれは二人の大きな支えになる。
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