第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「通信方法は簡単だ、呼びかけろ。以上!」 一番知りたい情報だというのに、やる気のないバラカスは新しくタバコに火を着けるとプッハーと煙を吐き出した。 それ以上の説明をする気配はまったく無い。 「ちょっと待て! 説明がシンプルすぎるだろ! 外国の取説より雑じゃない! オイ、このトボケパンダ聞いてんのか? ちゃんと説明しろって! 呼びかけろだけで分かるかっての!」 バラカスのモフモフの腹をビタビタ叩きながら追加説明を求めると、 「ケケケッ! 必死だな! そんなにマジョリカと話てぇか? そりゃあ必死にもなるわなぁ。マジョリカは若くて美人で性格が良いがオマエは? ジジィだし(ツラ)は平凡。異常な程マジョリカに執着する変態だもんなぁ。今はマジョリカもオマエに熱を上げてるが離れたら分からねぇぞ? 冷静になったら『ウチ、もうジャッキー好きじゃなーい』なんて言うかもな。そうならねぇように、遠距離でも話がしたいんだろ? 必死に繋ぎたいんだろ? ケーーーーーッ! 余裕ねぇなぁ!! カッチョ悪ぅ……あ? あれ? おいオマエどうした? ……泣いてんのか? オイオイ、マジかよ……」  バラカスが冗談で言ってるのは分かってた。 分かっちゃいても、マジョリカの心が離れるかもと想像しただけで、こうも簡単に涙腺が決壊した。 自分でもびっくりさ。 「ああ、泣いてる……余裕なんてないよ、あんなに綺麗で可愛くて優しくて柔らかくて甘くて強い()は黄泉にも現世にもいない。好きなんだ……こんなに誰かを好きになった事はない……怖いくらいだ……なぁバラカスゥ……自分が現世に行ってる間、マジョリカにちょっかい出す奴がいたら片っ端から潰してくれ。それと1日1回『ジャッキー最高!』って洗脳かけてくれ、頼むよぉ!」 なりふりなんか構ってられるか。 遠距離になっても毎晩マジョリカと話をするんだ。 好きだ好きだと言いまくって(本心だし良いだろ!)心を掴んで離さない。 バラカスの鉄壁と容赦ないアタッカー潰しを継続してもらい、それから白雪ちゃんにはカレシの振りをしてもらおう。 これからは半裸みたいな服は絶対禁止、かわりに自分の古い部屋着を毎日着させて、そうそうビン底眼鏡も必要だ。 マジョリカを絶対に手放さないぞ計画を練っていたゆえ、黙り込んでしまった自分をバラカスが心配したようで、 「いや、悪かった。まさかそこまで余裕がねぇとはな。笑って終わる冗談のつもりだったんだ」 となんだか優しい。 いかん……気を遣わせてしまったな。
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