第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「話ができれば少しは安心できる? それともまだ心配?」 これから超遠距離になるのだ。 まったく不安になるなという方が難しい。 少しでも安心させてあげたい、自分に出来る事はなんだってしてあげたい。 「ううん、ジャッキとおしゃべりできるなら、ウチ、頑張れるよ。……ねぇ、ジャッキは? ウチのコト心配じゃないの? ウチが浮気するとは思わないの?」 や、ちょっと、そういうコト言うのヤメテ。 想像しただけで泣けてくるから、さすがにマジョリカの前じゃ泣けないから。 「マジョリカはそんなコトしないよ。だから心配はしてないかな」 精一杯の虚勢で大人の男を演じてみたが、騙されてくれるだろうか? 「……そっかぁ。やっぱりジャッキは大人だな。ウチ、ジャッキのコト信じてるけど、でもね、やっぱりちょっとだけ不安になっちゃったの……ごめんね。ウチ、うっとうしいか?」 しょんぼり顔で唇を尖らせる愛しいマジョリカ。 ああ、もう。 うっとうしいはずがないでしょうよ。 アナタが何をしたって、キライになんかなれないよ。 「マジョ……あのね、聞いてくれる? オジサン、アナタのコトが好きで好きでたまらないの。可能なら、アナタを箱に閉じ込めて、誰にも見せたくないくらい。さっき……自分は心配してないよって言ったけど、あれは精一杯の虚勢なの。本当はマジョが可愛いから心配でたまらないよ。だからね、アナタに内緒でバラカスに頼んだんだ。マジョに近づく男はみんな潰してくれって。卑怯だろ? ちっとも大人じゃないだろ? 余裕なんて少しもないんだ。アナタの事が好きすぎて誰にもとられたくないんだよ」 マジョリカをうっとうしいなんて思ってないと伝えたかっただけなのに、余計なコトまで喋ってしまった。 余裕ぶって虚勢を張って、裏ではバラカスにアタッカー潰しを依頼してたなんて、呆れられるかと心配したが、なぜかマジョリカは嬉しそうだった。 「ジャッキでも、そんな風に思うんだ、なんだか少し安心しちゃった」 「呆れないの?」 「ぜんぜん! 心配してくれて嬉しいよ。だって……ウチとジャッキは夫婦で大好き同士だけど、でも……やっぱりウチの方がジャッキに夢中だもん。ウチばっかりヤキモチ焼いて恥ずかしいと思ってたんだ」 は、はい? この()は何を言ってるの? いや、本気で問いたい。 どこをどう見たって、自分の方がアナタに夢中でしょうよ。 「んー、マジョリカ? そこ間違ってる。好きの比重で言ったら自分、アナタが想ってくれる気持ちをダブルスコアで超えてると思うよ? 自分でも引く程アナタに執着してるし、バラカスには変態呼ばわりされたくらい。一体、どうしてそんな風に思ったの?」 恋は盲目とはよく言うが、それにしたってマジョリカのは盛大すぎる。
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