第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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◆◆ 白雪ちゃんからのありがたいギフト。 二人を繋ぐ赤いピアスをつけた後、いよいよ現世に戻る為、光る道を伸ばす作業に入った。 「マジョリカチーフ! 地球にいるジャッキーさんのリアルタイム位置情報掴んだです! 東京都K市! ✕✕病院! 入院病棟3階の306号室、個室! 生者の同席者は4名です! ご家族でしょうか!? どうしますか? このまま光道(こうどう)伸ばすですか!?」 宙に浮かぶDOS画面は重なりながら十数枚並んでいる。 一番大きなメイン画面の前に立つマジョリカの後ろを、せわしなく走り回るのヤマちゃんは、自分の為に光る道を伸ばすべくマジョリカの指示を仰いでいた。 「ちょっと待って! ジャッキ、家族に霊能者は?」 今回、マジョリカとヤマちゃんの二人組で操作しているのだが、自分やバラカス、【光道(こうどう)開通部】の面々は邪魔にならないように少し離れた場所に立っていた。 宙のDOS画面はそれぞれ小さくブーーーンと音をさせていて、十数枚も集まるとそれも中々にうるさい。 自分とマジョリカは大きな声を上げざるを得ない状況だった。 「いない! ウチはみんな鈍感なんだ! だが一人家族じゃない奴がいる! ソイツは分からない!」 小林だ。 コイツとはまともに話をした事がない。 雑談すらしなかったから、霊感があるとかないとか知る由もない。 「この人……」 「そうだ! ソイツは自分の足をダメにした張本人! 事故から7年も経ってるのにまだ謝りにくるんだ!」 自分の返事に3秒黙ったマジョリカは、決断をしたらしくヤマちゃんに指示を出す。 「……そう。ヤマちゃん! 小林さんは気にしなくていいわ! もし光る道や霊体のジャッキを視たとして、7年も通う人なら大丈夫よ!」 「アイマム! ではじゅぶん(・・・・)光道(こうどう)生成機を遠隔起動するです! IDナンバー:HITOMIMI315! パスワード:※※※※※(ピーーーー)! ログイン完了! 東京都K市M町3の1の……軌道微調整……微調整……微調……完了! これであとはスウィッチウォーンのドーーンでいつでも伸ばせますの!」 「ありがとう! ヤマちゃんは手を後ろにそのまま待機! ウチがGOと言ったらスウィッチウォーンのドーーン! でお願いね!」 長いウサ耳をぴょこぴょこさせながら、マジョリカの指示を待つヤマちゃんは、聞き分けの良い子供のようにピタッと止まり動かない。 全ての準備が整った。 あとはマジョリカがGOサインを出せば道は伸びる。 そして、自分が一歩その上に立てば……一瞬で現世に引っ張られるんだ。
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