第十五章 霊媒師 打ち上げ、そして黄泉の国の話

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「……ホントか? ウチ、けっこうワガママだぞ? ヤキモチ焼きだし」 さらに唇を尖らせて、チラチラ見上げる顔が可愛らしい。 ああ、叶うならこのまま抱いてしまいたい。 「本当だよ。自分になら何をしたって構わない。それとマジョはワガママか? そんなコトないぞ。もっとワガママ言えばいいよ。ヤキモチ焼きは……うん、そうかもしれないなぁ」 「それは……! ん……だって、ジャッキは良い男なんだもん。すごくカッコいいし心配になっちゃうよ」 良い男って……そんな訳ないでしょ、自分は冴えないオジサンだよ。 と思っていたら、同じコトを考えたらしい笑い声が遠くから聞こえてきた。 「ケケケ! 恋は盲目だな!」って……言っとくけど、このおかしな発言をしてるのはアンタの娘だからな。 「ねぇ、ウチばっかり優しくされてるよ。ジャッキは? ウチに何されたら嬉しい? ジャッキが嬉しいコト教えて、ウチもジャッキに優しくするの」 黒髪の星達がローズピンクに輝いている。 この()は心の底から自分に優しくしたいと考えてくれてるんだ。 それだけで胸がいっぱいになる。 「マジョリカは充分優しいよ。自分、すごく幸せだよ」 「もう! なんかあるでしょ? ウチにしてほしいコト!」 「んー、じゃあね、自分がいない間、布の量が多い服を着てちょうだい。他の男に肌を見せちゃだめ。見て良いのは自分だけなんだから」 「うん、分かった、約束するよ。 ねぇ、それだけ? あとは? あとは?」 「んー、そうだなぁ……ん、じゃあね、もうひとつだけ。いっぱい好きって言って。マジョに好きって言ってもらえると幸せなんだ。それだけじゃない自信になるんだ。愛する妻に愛されていると思うだけで頑張れるんだ。だから言って。好きだって、愛してるって」 こんなに優しくて素直で綺麗なマジョリカ。 この()がこんなにも愛してくれる。 それだけで自分には価値があるんじゃないかと思えるんだ。 「……ん、分かった。ウチ、毎日言うよ。ジャッキ、好き……大好き……ジャッキ、愛してる……すごくすごく愛してる」 この時、二色の瞳に映り込む自分の顔を見た。 そこには冴えないながらも、世界で……いや、宇宙で一番幸せな男の顔があった。 「マジョリカ……ありがとう。これで現世に行っても頑張れる。必ず帰ってくるからね。その時は一緒に住もう。毎日キスして、毎晩抱き合って一緒に眠ろう。1000年経っても離れない。愛しいマジョリカ、大切な妻……愛してる」 囁いた愛の直後、互いの唇は自然に引き寄せられ……しばらく離す事はできなかった。   
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