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『もういいです! で、さっきの話の続きですけど上京して事務の仕事始めて1年後に同じ会社の上司と付き合ったんです! 初めての恋人です! その後、子供ができて親に言わずに入籍しました! で、その後、夫がリストラにあって、仕事も探さずギャンブルとお酒で借金作って、暴力振るわれて、極貧生活の中なんとか子供育てて、最後には夫に殺されました! はぁ……』
え、ちょっと、すごぶるハードな内容を、そんな雑に話さなくても……。
「あの……田所さん? やっぱりまだ怒ってます?」
僕はおそるおそるお伺いを立てる。
怒ってません! と、明らかに怒った口調の田所さん……だったのだが、
『ごめんなさい……ただ……私……あまり誰かに容姿を……褒められた事がなくて……動揺してしまって、それに今はこんな顔をしてるし……からかわれたのかなって、、でも、岡村さんはそんな人じゃないし、でも、こっちが恐縮する程褒めてもらって、もうなんて言ったらいいかわからなくて……恥ずかしくなってしまって、それで大声出してしまったんです……本当にごめんなさい』
そう言ってしょんぼりと頭を垂れる田所さんに僕はハッとした。
ああ、そうだ。
今の田所さんは顔に大けがを負っているんだ。
それなのに……そんな女性に容姿の話を出してしまって僕はなんて無神経なんだ。
まただ、僕は浅はかだ。
霊視ができたかもしれないという裏付けがほしいあまり、彼女の気持ちをまるで考えていなかった。
「田所さん、僕、また無神経な事を言ってしまいましたね。本当にごめんなさい」
僕は深く頭を下げた。
さっきのような“怒っている理由はわからないけど、とりあえずあやまる”のとは違う。
本気の謝罪だ。
『え! いいの! そんな! やめてください! 私、怒っていませんよ? 動揺しただけ!』
「でも……」
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