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「そんなきっかけで、霊媒師になったんですねぇ。あ、そういや、ジャッキーさんは最初から在宅勤務なんですか?」
ウーノの手は止めずに質問をしてみると、同じく手は止めないジャッキーさんが答えてくれた。
「いや、最初の頃は生身の本体で現場に出てたんだ。でもね、本体で出ると色々支障が出ちゃってね。詳しい説明は省略するけど、自分の魂には光る道の欠片が癒着しているの。光る道って結局のところ死者を導くモノじゃない。欠片効果なのか、その辺を彷徨う死者達が多数寄ってきちゃうのよ。成仏させてくれーってさ。そうなると仕事にならなくてね」
それは大変だなぁ……昔、学生時代にお花屋さんでバイトをしていた時、接客中に別のお客さんがガンガン話しかけてきて困ったコトがあったんだ。
感覚としてはそんな感じなんだろうなぁ。
「お祓いの最中に多い時には何十体も霊達が寄ってきちゃうの。それだと自分一人の現場ならまだしも、ツーマンセル、スリーマンセルの現場だと他の霊媒師にも迷惑だ。これをなんとかしないと、やっとありつけた仕事が駄目になるって、必死に対策を考えたんだ。あの時は、先代や社長や弥生さんも一緒に悩んでくれてね、ありがたかったよ」
沢山の案を出し合った結果、ジャッキーさんのスキルなら結構無茶な方法でもなんとかなりそうというコトとなり、試行錯誤の末にジャッキーフィギュアに憑依して遠隔操作で現場入り、という今のスタイルに落ち着いたのだ。
って、その方法でなんとかしちゃうジャッキーさんってスゴイな。
てか、もっと言えば、それを可能にするサーバーを造った黄泉の国のバラカスさんもスゴイよ。
「最初は戸惑ったし大変なコトもあったけど良いコトもあった。分割した魂をフィギュアに入れてもね、光る道の欠片が本体の魂とガッツリ繋いでくれるから、視覚聴覚のリンクも安定して確立するの。そのおかげでフィギュアをアクロバティックに動かした時、風を切る空気感、視覚からくる身体の浮遊感なんかも味わえるんだ。義足になってもフィギュアを通せば、昔の感覚が充分楽しめる。現世では二度と味わえないと思ってた感覚がね」
そうか……ジャッキーフィギュアで遠隔操作は、仕事だけじゃなく、ジャッキーさんの大切だったモノの再現までしてくれるんだな。
それがジャッキーさんの心にどれだけの喜びを与えてくれるのか計り知れない。
ムキーーーー!
実際にそう言ったんじゃあないけれど、ウーノに連続負けした水渦さんがカードを放り投げた。
「ちょっと、水渦さん! 負けたからって癇癪おこさないでくださいよ!」
ブーブー文句を言いながらも、散らばったカードを集めるのは自然と僕の役目になっている。
それを見たジャッキーさんは、僕にありがとうと言ってから癇癪霊媒師にこう言った。
「どうしたの? 負けてばっかりでイヤになっちゃったの?」
ブスっとした表情でジャッキーさんを無視する水渦さんは、唇まで尖らせていた。
ちょ……そんなに悔しかったんですか……?
ウーノにどんだけ本気になってるんですか。
「水渦さんは負けず嫌いなんだね。でもいいんだよ。この仕事、誰にも負けないって気持ちを持っていた方がいいからさ」
優しくフォローするジャッキーさんだったが、水渦さんはまだ腹の虫がおさまらないようで、イライラを撒き散らしていた。
「もう、そんなにイライラしたらゲームがつまらなくなっちゃいますよ? せっかくみんなで楽しいんだから勿体ないですよ。んじゃ、もう一回ジェ〇ガでもしましょうか。水渦さんの得意なヤツ!」
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