第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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悪霊の汚名をかぶっても、生者な若者達を守り続けてきた善霊軍団。 大澤病院、大澤院長と看護師のみなさん。 その中で選ばれし二人の男性幽霊。 特殊メイク班。 生前は看護師業務をこなしながら、亡くなった患者さんに死化粧を施していたそうだ。 そのメイクの腕前は「え! ちょ! そんなに変わっちゃうの!?」なレベルで顔を変える。 白髪の天然パーマ、綿あめみたいな頭をしたプリティマルチーズみたいなお爺ちゃん院長も、二人の手にかかれば獰猛なドーベルマン顔に変身するのだ。 そういやぁ……大澤病院のみなさんが黄泉の国に旅立つ時、光る道の上から特殊メイク班の二人はこんなコト言ってなかったか? ____弥生さん! 私達が教えたメイクテクを忘れないでくださいよ! あー思い出した。 言ってた、確かに言ってた。 あの時はなんのコトだか意味が分からなかったけど、大して気にしてなかったんだよなぁ。 てか、今まで忘れてたくらいだし。 え? てことは、 「あのー、弥生さん。もしかして、大澤病院の技術職。特殊メイク班直伝のメイクをしてるってコトですか?」 そう聞いてみた。 すると、 「ハイ、正解! ねねね、スゴクない? アタシ、どこどう見ても17才に見えない? ねねね、見えんでしょ? どうよ?」 とテンションが高い。 「や、あの、さすがに17才には見えないですけど、二十代半ばには余裕で見えます! だって僕、弥生さんの妹さんが来たのかと思いましたもん!」 「チッ……二十代半ばか……次はもうちょっとハイライト強めにしてみよっと」 ふとした表情が30代後半っぽさを浮き上がらせるな。 しかし、特メイ班のメイクテク、ハンパないよ。 「あれ? 弥生さん、メイクだけじゃなくて雰囲気違うなと思ったのは、髪がこないだと違うんですね。今日は巻いてない、ストレートヘアだ。それに……わぁ、キレイ! 髪がキラキラ輝いてる! お星さまみたい!」 前回会った時は、徹夜で飲んで、その足で出社してきたもんだから、くたびれた巻き髪だったのよね。 今日の弥生さんはサラサラストレートに、長い髪の下のほうにはキラキラのラインストーンがいっぱいついている。 まるで宇宙みたいだなぁ、てか、それどうやってつけてるの? 「これ? これはね、ヘアアイロンでくっつけるんだよ。つーか、エイミーちゃん、食いつくねぇ、女子力高っ!」 「女子力って言わないでください! 僕、男だし。いや、男だってキレイな物は好きですよ。僕が女子力高いって言うならキーマンさんは、もっとスゴイですからねぇ」 「あはははは、確かになー」
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