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弥生さんの変身っぷりに驚いたものの、メイクも髪も本当によく似合っていた。
「そんなに可愛くなっちゃったら、モテちゃいますよー?」
「そうかぁ?」
キャッキャウフフと二人で笑い、「今度エイミーちゃんにもしてあげる」と言われたが、それは丁重に断った。
だって僕、男だから若返らなくてもいいし、オッサンって結構楽だし。
「そういえばさ、こないだまた現場入りしたんだろう? 神奈川のポ現だって? スリーマンセルでジャッキーとクソ水渦と三人でさ」
クソ水渦って……思わず笑ってしまう。
ブレがない、本当に仲が悪いんだから。
「はい、行ってきました。それと社長に神奈川の現場を最後にOJTは終わりだって言われました。次に行く現場では独り立ちになります」
「わっ、オメデト! 大丈夫、心配しないで。最初は緊張するだろうけど、エイミーちゃんなら良い霊媒師になるよ。むしろクソ水渦の方が心配だわ。あの愛想の無さがクレームになりそうだもん。ま、ムカつくけどスキルだけはあんだよね。で、どうだった? 二人と同行して勉強になった?」
僕より8つも年上なのに、5つは年下みたいな弥生さんが真面目な顔で聞いてきた。
「はい、すごく勉強になりました。水渦さんには、ピンチの時に増幅の印で助けてもらったし、ジャッキーさんの助言とご指導で霊力の応用も出来ました。なによりジャッキーさんの霊力がすごかったです。勉強にもなったけど、それ以上に圧倒させられたというか……」
バラカスさんの第98霊力サーバーにアクセスしてるとはいえ、転送された霊力を無駄にする事なく、的確に使いこなしていた。
ジャッキーさんは「サーバーがなければ、ただのオジサンだよ」と謙遜していたが違う。
たとえば僕が、霊力サーバーを使わせてもらえる事になったとして、ジャッキーさんのように使いこなせるかと言ったら自信がないもの。
「えぇ……! クソ水渦が人を助けるとかマジ? 懐いてるのは先代とジャッキーだけだと思ってたわ。エイミーちゃん、それスゴイよ。でもま、良かったね。いいもの視れたじゃん。ジャッキーはさ、ウチの会社でも一番スキルがあるから、新人さんには良い手本になるんだよ。それに……ヤツは優しいからな、」
さっきまでの豪快な大声ではなく、静かにそう言った弥生さん。
うん、分かります。
ジャッキーさんは優しいですよね。
「現場でジャッキーさんからお菓子と夜食のカップ麺いただきました。ジャッキーさんは在宅だから、自分が食べる訳じゃないのに、僕らの為に用意してくれてたんですよねぇ……僕、男だけど、あやうく惚れるトコでした」
それだけじゃない、ホントは現場で水渦さんと寝落ちした。
スヤッスヤに寝ちゃった僕らを怒るどころか、寝かせておいてくれたんだ。
マジ神、マジリスペクト。
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