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~訓練終了3日前、真夜中の弥生視点~
光る道が消えたと同時、ジャッキーの手にあったローズピンクの花も消えた。
確信はないけど、あれはきっと現世の花じゃない。
黄泉の国に逝った事はないけど、たぶんそこで咲いている花なのだろう。
アタシが今まで呼んできた光る道に、花が添えられていた事なんか一度だってない。
あれは絶対にマジョリカって人からジャッキーへのプレゼントだ。
マジョリカって誰なの?
コウドウカイツウブってなんなの?
いろいろ想像しても結論は出ない。
きっと黄泉の国の人なんだろうなとは思うけど、ジャッキーはマジョリカって人に”愛してる”と言っていた。
あんなにはしゃいだ声を聞いた事がない。
無性に腹が立つ。
午前1時過ぎ、アタシとジャッキーは家でビールを飲んでいた。
二人ともシャワーを浴びて、後は明日のスケジュールを確認したら、少し雑談をして眠りにつく。
ジャッキーは2階へと消えていく。
それがいつもの行動パターンになっていた。
手短にスケジュール確認をした。
この一カ月は単純作業の繰り返しだ。
心霊スポットに行って、野良幽霊を探す。
ジャッキーは依代フィギュアを遠隔で操って、霊達の対応をする。
行けば大変だけど、今はたいして確認する事なんてない。
それよりも、今夜は聞きたい事がたくさんある。
「もう1本飲んじゃおうかな、弥生も飲むか?」
ジャッキーが珍しく2本目のビールを飲みたがっている。
明らかに機嫌が良い。
ああ、腹が立つ。
「ホラ」
冷蔵庫から戻ってきたジャッキーがアタシにもビールを寄越した。
お礼も言わずに無言で開けてそれを飲む。
ねぇ、なんか言ってよ。
アタシが家に来て、機嫌が悪いコトあった?
なかったでしょ?
どんなに疲れてたってアタシは笑ったじゃない。
いつもと違うと思わないの?
今夜くらい気が付いてよ。
ああ、腹が立つ。
「ジャッキー、」
ああ、嫌な声出してるな、でも仕方ないじゃない。
少なくとも光る道をどうして呼べるのか、それは家に帰ってから説明するって言ったのに、いまだなんの説明もない。
アタシが一番聞きたいのはマジョリカって人の事だけど、それだけじゃない、やっぱり全部聞きたい。
「なんだ?」
鼻歌でも歌い出しそうな顔でアタシを見る。
「話してよ、約束だろ? なんで光る道が呼べるんだよ」
まずはココから、いきなりマジョリカの話を出して、逃げられたら元も子もない。
「ああ、そうだった。説明するって言ったよな。実はね、」
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