第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

33/222
前へ
/2550ページ
次へ
ジャッキーの説明を要約すると、まず【光道(こうどう)開通部】。 これは黄泉の国にある光る道を手配する担当部署で、死んだ人達に道を伸ばして導いたり、アタシや他の霊媒師が光る道を呼んだ時も、やっぱりその人達が道を手配してくれてるんだって、ふぅん。 ジャッキーが光る道を呼べるのは、二年前に二人が初めて会った廃ビルで、アタシが滅した悪霊4体に襲われたから。 そのせいで生死の境を彷徨って、結果生還したけど一度は死んで黄泉の国まで逝っちゃって、その時に【光道(こうどう)開通部】のオペレーター達と知り合って仲良くなった。 それ以来、仲良しのオトモダチはジャッキーが言えば光る道を伸ばしてくれる、それも楽しいお喋り付きで。 アタシら他の霊媒師とは扱いが違うよね。 だってさ、アタシらがどんなに呼びかけても返事なんかしてくれないもん、ただただ道を寄越すだけ。 まぁ、いいけど。 「みんな良い人達ばかりなんだ。自分と仲良くしてくれる」 あ、そう。 それは分かった。 「へぇ、じゃあさ、もう一つ聞いていい?」 不機嫌全開で聞いてるのに、この男「なんだ?」なんて、だらしのない顔して気にもしていない。 なにそれ、マジョリカって人と話したのがそんなに嬉しいの? ああ、腹が立つ。 「あのさ、さっきの光る道はマジョリカって人が伸ばしたの?」 ああ、やっぱり。 いきなり空気が変わった。 アタシがマジョリカって名前を出したら、急に真顔になった。 「なんで、弥生がマジョリカを知ってるの?」 「はぁぁ? だって、光る道を呼んでた時、マジョリカ、マジョリカってうるさかったんだもん。嬉しいとか幸せとかアイシテルとか、そんな事まで言ってたよね? まさか、聞こえてないと思ったの?」 アタシがそう言うと、ジャッキーは顔を真っ赤にした。 ビールでも焼酎でもウィスキーでも、なにを飲んでも顔色一つ変えないクセに、マジョリカには反応するんだ。 「あ、そっか、ごめん。自分、声が大きかったのか。聞こえてないと思って好き勝手に喋っちゃった。参ったな……急に恥ずかしくなってきた」 オッサンが照れんなよ。 ああ、腹が立つ。 「いいから教えてよ、マジョリカって黄泉の国の人なんでしょ?」 「ああ、マジョリカも黄泉の国の住人だ。【光道(こうどう)開通部】所属の()で、さっきは、たまたま応答してくれたんだ」 「ふぅん、随分親しかったよ。オトモダチって感じじゃないくらい」 「ああ……うん、そうかな? そうだね、」 鼻の下が伸びてる。 なに? その子は美人なの? いくつなの? ジャッキーとの関係は? 聞きたい……でも、ああ、とりあえず、 「その子っていくつなの?」 「え? なんで? 享年でいえば17才だよ」 17? え? 17才? なんだ……子供じゃない。 そっか、そうか、そうなんだ! あーーなんだぁ! びっくりしたー! そっか、17才の子供かぁ。 ジャッキーの性格的に17才の子供を好きになるとかなさそうだし、名前もマジョリカって外国名だし。 外国人の女の子になら”愛してる”って言っても、親愛の意味なのかも。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加