第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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「そっか、17才の子なんだ。若いね、羨ましいわ。でも子供だな」 アタシも調子いい、子供だって分かってやっと笑えた。 だって、焦るじゃんか! あんなにはしゃいだ声のジャッキーは初めてだし、マジョリカマジョリカ連呼して、最後は愛してるなんて言うんだもの。 「んー、ちょっと違うかな? 17だけど、子供じゃない。マジョは生きてれば34才、弥生より年上だ。オペレーター歴も17年のチーフ職だし、見た目は17才だけど、中身は大人なんだよ……あれ? ホントか? 大人とは言い切れないかな? 子供っぽいトコ残っちゃってるし」 「見た目は17才のまま、中身は34才って……黄泉の国ってそういうものなの?」 「うん、そうみたい。うんと大往生して亡くなった方とか、本人の希望があれば、見た目は好きな年齢に再構築してくれるけど、マジョリカは、ずっと亡くなった時の姿のまま手を加えてないんだ」 なんだろう? 雲行きがおかしくなってきた。 すごく不安になってきた。 「ふぅん……その子はキレイな子なの?」 「ああ、綺麗な子だよ」 「そう……どこの国の人?」 「イタリアだよ」 「言葉は? 日本語ができるの?」 「や、それはね、説明するとややこしいんだけど……黄泉の国ではね、自分の母国語で話せば相手には相手の母国語で聞こえるんだ。だから言葉の壁がないの」 「そんなコト可能なの?」 「黄泉の国(むこう)にはスゴイ技術屋が揃ってるからね。そういうシステムがあるんだよ」 「じゃあ……瞳の色は? 髪の色は?」 「瞳は右が金で左が青のヘテロクロミアだ、すごく綺麗な色でね。髪は黒髪だけどダイヤを散らしたような星が映ってる。まるで星空……いや、宇宙そのもなんだ」 「へぇ……」 「もういいだろ? 恥ずかしいよ」 恥ずかしい?  なんで? マジョリカって人がイタリアの美人の17才で、瞳の色が二色で髪が宇宙みたいに綺麗なのが恥ずかしいの? なんでジャッキーが恥ずかしがるの? おかしいよ、それって、 「……ねぇ、ジャッキーとマジョリカってどんな関係なの?」 ああ、聞いちゃったよ。 アタシは思った事はなんでも口に出しちゃうんだ。 そういうので痛い目見た事今までにいっぱいあったのに、でも気になるよ。 だって、まるで。
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