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沈黙で脳ミソが腐りそう。
ジャッキーはアタシの質問に答えてくれただけ。
アタシは食い下がって得た答えに勝手に落ちているだけ。
結果と順番は関係ない。
おまえはマジョリカにはかなわない、そう言うコトでしょ?
アタシ、バカみたいだ。
”もしも先に出逢っていたら弥生を愛してた”
なんて、ウソでも良いから言われたかった。
____4
仮にさ、アタシがジャッキーに恋をしてなくて、関係はただの会社の先輩後輩だったなら、マジョリカの話を聞いても落ち込まなかっただろうな。
良い奥さんじゃないって言ったと思う。
マジョリカと一緒に飲んでみたいとさえ思うかもしれない。
あー聞くんじゃなかった。
「弥生。大丈夫か、」
女の気持ちに鈍いジャッキーでも、さすがに今も好きだと知ってしまったアタシに気を遣っているようで、「マジョリカの話はもうよそう」と飲みかけの炭酸を寄越した。
アタシが飲んでジャッキーが飲んで、またアタシが飲む。
少しだけ気の抜けた炭酸は甘味を増していた。
「なにも感じなくなればいいのにな。悲しむ事も、欲する事もぜんぶ無駄だって、そんな事疲れるだけだって、そう思えればいいのにな」
素直にそう思ったんだ。
構ってほしくて本心とは違う自虐的発言をしてるんじゃなくてさ、好きで好きで仕方なくて、この三カ月訓練はハードだったけど一緒にいられて幸せで、もしかしたら、今なら、もう一度好きだと言ったら、何かが変わるんじゃないかって期待して、なのにマジョリカの存在を知ってしまって、夢も希望も打ち砕かれて、ジャッキーを脅してまでキスをして、でもそれはやっぱり心から喜べなくて、罪悪感と申し訳なさが渦巻いて、悪いのはアタシなのに、ジャッキーはすごくすごく優しくてさ。
アタシの気持ち、初めて知ったマジョリカの存在、ジャッキーの優しさ過剰、これらをどう処理していいのか分からなくって、だったらもう何も感じなくればいいのにって。
挑む前から逃げるみたいでアレだけど、もう疲れちゃったよ、完全にキャパオーバー、崩壊寸前。
____3
「そんなふうに言うな。悲しむ事も、欲する事も無駄じゃない」
アタシの髪を撫ぜ続けるジャッキーは、真っ直ぐ見つめてそう断言した。
欲する事も無駄じゃない……それ、アンタが言うか?
「……ぷっ」
「何がおかしい、自分は真面目に言っている、」
広すぎるベッドなのに、アタシははじっこギリギリに横になる。
頑なにベッドに入らないジャッキーの近くにいたいからだ。
アタシは限界までにじり寄り、こう言ってやった。
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