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ここまで赤裸々に語ってくれた弥生さんに、もはやいろいろ質問するコトへのハードルは下がっていた。
僕は気になっているコトを聞いてみる。
「ジャッキーさんは、その、弥生さんに、”ずっと覚えてろ” そう言ったコトについてなんて言ってたんですか?」
「あー、あれな。あのあとヤツは夕方に起きてきて、アタシが作ったゴハン食べてテレビ見てビール飲んで『初めて訓練さぼっちゃったねー』なぁんて話してオシマイだよ。何も言ってこなかった。アタシも聞かなかったしね」
「なんで聞かなかったんです? 気にならなかったんですか?」
「んー、気にはなったけどさ。もしかしたら寝惚けてたのかもしれないし、下手に聞いて『そんな事言ったか?』って言われるのが怖かったんだ。だったら聞かないでアタシの中で宝物にしようと思ったの」
宝物か……弥生さんにとって、ジャッキーさんの言葉ひとつも愛しくて大事なモノなんだ。
僕に今、好きな女性はいないけど、こんなに好きだと想える恋に出逢えるコトはできるのかな。
弥生さんは”好き”の分だけたくさん泣いたと思うけど、少し羨ましくもある。
7年間で30回も告白するくらい好きなんだもの……ん?
これって正確に言うと違うんじゃないの?
「ねぇ弥生さん、さっき僕に7年間で30回告白したって、根性ある発言してましたけど、正確には最初の2年で1回、残り5年間で29回告白したってコトですよね? 29÷5で、えっと……年間5.8回だから約6回。てことは1年で言うと……2カ月に1回告白してる計算になりますけど合ってます?」
すごいハイペースだな。
まぁ定期的にキッカリ2カ月に1回じゃないだろうけど、1年に6回ペースってだけでもスゴイだろ。
「んーどうだったかな。多い時だと一週間連続で告って、しばらくしないとかもあったし」
「一週間連続って……それもう告白強化週間ですよね」
「その言い方、なんかカッコいいな!」
「や、ちょ、カッコいいとか、ソレ違うと思うよ?」
「あ、エイミーちゃんがタメ口きいた!」
「え!? あっ! すいません、うっかり! だって弥生さんヘンなコト言うからぁ」
イカン……スキルもキャリアも大先輩に対して失礼なコトを言ってしまった。
指摘されて気が付いて反省中の僕に、弥生さんはケラケラ笑いながらこう言った。
「いいんだよ、アタシもタメ口の方が気楽だ。同じ霊媒師同士、フランクに仲良くやろうや。この仕事はさ、ツーマンセル、スリーマンセルで組む事だってある。普段からコミュニケーション取っているのといないのでは、現場で大きな差が出るんだ。苦戦しても、コイツならこう動くって読めるヤツと組むのは楽だからな。だからクソ水渦とは絶ぇぇぇっ対に組まない!」
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