第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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「そんなに力を入れて宣言しなくても……ホントに仲悪さんなんだから。 あと……弥生さんのお言葉に甘えて、今から敬語を廃止させて頂きますね。……コホン。で、話は戻すけど、年間6回ペースの告白は逆効果じゃない? 恋愛ベジタリアンの僕も一応は男の端くれ。いくら美人でも、そこまでハイペースだと男は引くと思うんだ」 って、言ってから思った。 弥生さんにこんなコト言って良かったのかな? だってもしもジャッキーさんが弥生さんを受け入れてしまったら、片想いは不倫の恋になってしまう。 それって叶っても、結局は弥生さんが傷付いてしまうんじゃ……余計なコトを言わなければ良かったかな、と少し後悔しつつ、でも、二人の過去と弥生さんの気持ちをを聞いてしまった僕は、どうしたって弥生さんに肩入れしてしまう。 「アリガト、でもね、アタシもそれは分かってる。男も女もそうだと思うけど、しつこくされすぎるのはヤダよね。アタシもイヤだ。でもさ、アタシには時間がないんだよ」 整った眉を八の字にしてふにゃりと笑う弥生さん。 その表情は”若い”を超えて幼さまで感じてしまう。 「時間って? なんの時間がないの? なんか予定でも、……あ……もしかして……まさか弥生さん……本気なの?」 思わず声が上ずってしまう。 ジャッキーさんに引かれる覚悟で告白をしまくって、断られても挫けずに、なおかつ弥生さんは時間を気にしてる。 それって、やっぱり、さっき言っていたコトだよね? 「本気だよ。アタシはジャッキーの子供が欲しいんだ、どうしてもね。ジャッキーと付き合えなくても、結婚出来なくてもいいの。マジョリカしか愛せなくても……イヤだけど仕方がない。アタシも今年で38になっちゃったから、そろそろ急ぎたいんだ」 ……今、何時だ? ずっとずっと話し込んでいたから、お昼も食べていない。 壁につけられた時計の針は、16時少し前を指していた。 話をしていたのもあるけど、弥生さんはこの間タバコを吸いに行っていない。 前に会った時はしょっぱなから喫煙していたというのに、自他共に認めるヘビースモーカーのはずなのに。 「弥生さん、タバコやめたの?」 僕がそう聞くと、弥生さんは「うん、やめた」と言って笑った。 弥生さんは本気だ。
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