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「そんなに力を入れて宣言しなくても……ホントに仲悪さんなんだから。
あと……弥生さんのお言葉に甘えて、今から敬語を廃止させて頂きますね。……コホン。で、話は戻すけど、年間6回ペースの告白は逆効果じゃない? 恋愛ベジタリアンの僕も一応は男の端くれ。いくら美人でも、そこまでハイペースだと男は引くと思うんだ」
って、言ってから思った。
弥生さんにこんなコト言って良かったのかな?
だってもしもジャッキーさんが弥生さんを受け入れてしまったら、片想いは不倫の恋になってしまう。
それって叶っても、結局は弥生さんが傷付いてしまうんじゃ……余計なコトを言わなければ良かったかな、と少し後悔しつつ、でも、二人の過去と弥生さんの気持ちをを聞いてしまった僕は、どうしたって弥生さんに肩入れしてしまう。
「アリガト、でもね、アタシもそれは分かってる。男も女もそうだと思うけど、しつこくされすぎるのはヤダよね。アタシもイヤだ。でもさ、アタシには時間がないんだよ」
整った眉を八の字にしてふにゃりと笑う弥生さん。
その表情は”若い”を超えて幼さまで感じてしまう。
「時間って? なんの時間がないの? なんか予定でも、……あ……もしかして……まさか弥生さん……本気なの?」
思わず声が上ずってしまう。
ジャッキーさんに引かれる覚悟で告白をしまくって、断られても挫けずに、なおかつ弥生さんは時間を気にしてる。
それって、やっぱり、さっき言っていたコトだよね?
「本気だよ。アタシはジャッキーの子供が欲しいんだ、どうしてもね。ジャッキーと付き合えなくても、結婚出来なくてもいいの。マジョリカしか愛せなくても……イヤだけど仕方がない。アタシも今年で38になっちゃったから、そろそろ急ぎたいんだ」
……今、何時だ?
ずっとずっと話し込んでいたから、お昼も食べていない。
壁につけられた時計の針は、16時少し前を指していた。
話をしていたのもあるけど、弥生さんはこの間タバコを吸いに行っていない。
前に会った時はしょっぱなから喫煙していたというのに、自他共に認めるヘビースモーカーのはずなのに。
「弥生さん、タバコやめたの?」
僕がそう聞くと、弥生さんは「うん、やめた」と言って笑った。
弥生さんは本気だ。
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