第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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「…………人が大人しくし聞いてれば……だーーーーっ! さっきからアタシばっかり責めるけど、ジャッキーだって約束破ってるじゃんか! 部屋の中はウサギ監視しないって言ったよねぇ!」 消毒の提案の前に弥生さんがキレた。 それに対しジャッキーさんは冷静で、 「仕方なかった。頭を打った弥生がどうしてるか心配だったんだ。電話も来ないし倒れてたら大変だろう? 緊急事態だから霊視した」 ふぅん。 じゃあまずは、ジャッキーさんから電話すれば良かったんじゃないですかね? 電話もしないで、いきなり女性の部屋を霊視(のぞく)のって、どうなんですかね? ま、そんな余裕がないから、アナログに走って来ちゃったんだろうけど。 「はぁぁ? だってさ、一人でどうしようもなかったら電話しろって言ったんじゃん! なんともないから電話しなかっただけじゃん! そんなに心配だったらジャッキーから電話くれればいいだろ!」 あ、やっぱり弥生さんもそう思う? だよね、なんの為のスマホだよ。 てか、ジャッキーさんなら直接声も飛ばせるのに、そーゆーのしないで、約束破って霊視(のぞく)って、どーなんですかね? 心配もしてただろうけど、部屋に男がいないか確かめたかったんじゃないですかね?(今回、僕がいてヒットしちゃった!) 去年の弥生さんのピンチを救ったのも、定期的に霊視(覗いて)たからじゃないですかね? もしかしてジャッキーさん、弥生さん限定の変態さんですか? てか、そうだろ。 「倒れていたら電話には出られないだろう? 霊視(みた)方が早い」 わーお! 正々堂々、霊視(のぞき)を認めたよ! 「あ、それもそうか」 えっ!? 弥生さん、「なるほどね」みたいに納得しちゃってるけど、それでいいの!? この人、丸め込まれちゃったんじゃないの!? この人、いつもこんな調子で丸め込まれてんじゃないの? まぁ____ 「まぁ……弥生さんがいいならいいけどさ。ジャッキーさんも心配なのは分かるけどやりすぎって言うか、テンパりすぎっていうか、やる事が乱暴って言うか、余裕ゼロって言うか、仕事中のジャッキーさんとはえらい違いだ……強気なヘタレだよ」 あれ……? なに?  どうしたの? 心の中でジャッキーさんに突っ込みを入れていたはずなのに、なぜに二人してそんなに僕を見てるのか、 「エイミーちゃん……今、心の声が漏れてたよ」 「エイミーさん、自分はヘタレかい?」 アウチ……やっちまった。 心の声、ミュートになってなかったみたいだ。 「あは、あはははは、いや、そんな、ヘタレじゃないですよ。今のは言葉のアヤっていうか……ねぇ! あはははは……ハッ! そんなコトよりジャッキーさん、足、痛くないですか? ジーンズの黒いシミ、たぶん膝から血が出てると思うんです、」 僕がそう言うと、ジャッキーさんも弥生さんも揃って目線を下げた。
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