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「せっかくエイミーちゃんが、アタシと付き合ってくれるって言ったのに!」
プリプリ怒る弥生さんのノリは軽い。
ちょ、それ、どこまで本気なの?
僕、自分を見くびってた。
チューでもすれば好きになると思ってたけど、たったあれだけのコトで(チューしてないし)結婚したくなるなんて。
弥生さん……本気でキスするつもりだったのかなぁ?
いや……ないよなぁ。
恋愛感情を否定しまくるジャッキーさんに、ヤキモチを焼かせたかっただけだろうなぁ。
たまたまいたのが僕だったってだけだよなぁ。
僕は死にそうになったというのに。
ある意味殺人未遂だ、責任取って僕と結婚してください。
「いいか、弥生。エイミーさんはね、た だ の 会社の先輩を心配してるだけで、本 気 で 付 き 合 う 気 は な い ん だ よ。さっきのはモノのたとえだ。ね、エイミーさん。そうだよね? ないよね? 違うよね? ん?」
や……言い方。
絶対に付き合わせねぇぞ! 的な空気をガンガン感じるんですが。
「あーうん、そうですねぇ。心配はしてますよ。付き合う気があるかないかで言えば……そこすっ飛ばして結婚したいです」
あ、うっかり本心を言ってしまった。
弥生さんも、ハッキリしない既婚者に振り回されるより、明日僕と入籍した方がいいと思うんだ。
「いや、すまない。自分は既婚者でエイミーさんとは結婚出来ないんだ。諦めてくれ」
ジャッキーさんが真面目な顔で僕に言う。
オイ強引だな、その持っていき方は無理があるぞ。
どうしよう。
意識しちゃうんだけど。
僕の中の弥生さんは数段階の変化を遂げて、その詳細は……
会社の先輩→頼りになる姐御肌→妹っぽい女友達?→チュー未遂!→結婚してください!(New!!今ココ!)
だけど……チラリと年上のお姫様を見れば、ジャッキーさんの肩やら胸やらバシバシと叩き、「新しい恋のジャマすんな!」とじゃれている。
ジャッキーさんを見上げる目はキラキラと輝いて、新しい恋する気ないよねぇ? と突っ込みたくなる。
まぁ……いっか。
とりあえず、弥生さんが笑ってる。
今はそれでよしとしよう。
弥生さんのブッ飛び奇行で、張りつめていた空気が、なんやかんやで元に戻った。
もしかして……これは計算だったのか?
真意は分からない。
ただ3人で飲むお茶はおいしくて、今夜はこのまま平和におわるかなぁと思っていたんだ。
だけど、思ったコトをぜんぶ口に出さないと気が済まない、弥生さんの爆弾発言で事態は激変する事になるのだ。
それが……
「エイミーちゃんがいると場が和むよ。今なら……もう一回話せるかなぁ。
なぁ、ジャッキー……先月の話なんだけど、」
言いかけた弥生さんにジャッキーさんは、
「エイミーさんがいるだろう? 今話す事じゃないよ」
と取り合わない。
途端、弥生さんはしょんぼりと肩を落とす。
見てられない、やっぱり僕と(ry
はぁ……子供かよってくらい俯いちゃって。
少しだけフォローしとくか。
「ジャッキーさん、僕のコトは気にしないでください。むしろ第三者がいる時に話した方が良い時もあります。二人だけで話すには……もしかして感情的になってしまうかもしれません」
「どういう意味だ?」
ジャッキーさんが片眉をしかめて僕を見る。
僕の援護射撃に勇気を出した弥生さんが斬り込んだ。
予想ではもう一度子供が欲しい気持ちを話し、口寄せの件はデリケートだし慎重にいくのかと思っていたのに。
「アタシ、どうしてもジャッキーの子供が欲しいんだ。だからマジョリカを口寄せする、マジョリカが良いと言ったらいいだろう?」
切り出し方は最悪だった。
弥生さんの言いたい事は、これで間違いないはないし、今夜はこれがすべてなのだろう。
だけど、空気が一変したんだ。
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