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あれから一週間が過ぎた。
弥生さんからもジャッキーさんからも連絡はなく、どうしているだろうと思ったけど、僕からも連絡は取っていなかった。
そんなこんなで今日、出社した弥生さんが溜まりに溜まった有給休暇を申請した。
現場次第でランダムにはなるものの、最低でも月に8回の公休を合わせ、まるまる一カ月のお休みだ(それだけ使ってもまだ有給は余るらしい)。
社長はブーブー言ってたが、まだ繁忙期ではない事と、必死に休みをクレ! と迫る様子を見たユリちゃんが、なにか事情があるのだと察してくれた。
そのユリちゃんの口添えで、弥生さんは長期の休みをもぎ取ったのだ。
ま、社長はユリちゃんに甘々だからね。
彼女に何かを頼まれて断るなんてコトはまずないよ。
僕もなにかあったらユリちゃん経由で(ry
有給の申請書類を大量に書かなくてはならない弥生さんは、事務所の自席では社長がウルサイからと僕のいる研修室へとやってきた。
「一カ月も休みなんて学校の夏休みみたいだ。弥生さん、どこか旅行にでも行くの?」
なるべく明るく……言えたかな?
先週、弥生さんはジャッキーさんの気持ちを知ってしまった。
ずっと想い続けてきた大好きな人。
拒まれ続けてきたのに、急にそんな事を言われパニックになっていたな。
僕は途中、二人を残し部屋を後にした。
それから、二人がどんな話をしたのかは知らない。
飲みに行き、たとえ完徹になったとしても、決して休まず出社するのが弥生さんだ。
その弥生さんが一カ月も休みを取るなんて、一体どうしたというのだろう。
「エイミーちゃん、この間はありがとね。せっかくシチュー造ってくれたのにロクにお礼も言えないままでごめんな。すごく美味しかったよ」
作成途中の書類から顔を上げ、情けない顔で笑った弥生さんは「ごめん」と繰り返した。
「ぜんぜん。僕こそありがとう。ゴハン一緒に食べれて楽しかった、」
怒涛の夜だったけど、色んな事がありすぎたけど、二人で笑って食べたシチューは美味しかった。
「……エイミーちゃんは何も聞かないんだな、」
ふぅっと息を吐いた弥生さんは、やっぱり情けない顔で笑う。
「……うん、だって簡単に聞いて良い事じゃないもの」
「そか、ありがと。だけどごめん、少し聞いてほしい」
伏せた目に疲れを感じる。
今日だって特メイ班のマイナス12才の仕上がりなのに、見た目じゃなくて、心の疲れが浮かんで見える。
話してくれるなら、話して楽になるなら、いくらだって。
「うん、いいよ。僕で良ければ聞くよ」
「ありがと……なんかね、アタシ混乱してる。すごく、なんか。でも決めたんだ、覚悟もしたんだ。だけど……ああ、ここんとこエイミーちゃんには迷惑ばっかりかけてる、ごめん」
謝ってばっかりだな。
どうしたんだ、こんなに弱気になって。
何があったの?
ジャッキーさんの事……しかないよね?
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