第二章 霊媒師面接

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◆ 中に入ると外観とは打って変わって爽やかだった。 白い壁に光取りのすりガラスが等間隔ではめ込まれ、柔らかく差し込む光がなんとも明るく心地よい。 さり気なく花なんかも飾ってあって、どこをどう見たって普通の会社だ。 僕は人がいないのを良い事に、辺りをキョロキョロと見回しながら奥へと進み、丁字の突き当りで立ち止まった。 左を見れば給湯室、右を見れば閉ざされたドア。 ドアの横には壁掛けタイプのビジネスホンが付けてあり、すぐそばには“御用の方は内線ボタンを押してください”というゴシック体の張り紙が貼ってあった。 手続きにどこを訪ねたらいいかわからない僕は、とりあえず受話器をあげて内線ボタンをプッシュした。 プル、ガチャッ! 出た! 早っ! 1秒程の呼出音で瞬時に応答されて焦ったが、それでも僕は精一杯の余所行きの声を出し、 「お忙しいところを恐れ入ります。私、本日10時にお約束」 させて頂いた……と続けようとした僕を、聞き覚えのある弾んだ声が遮った。 『岡村英海(おかむらひでみ)君でしょ? よく来たね! 待ってたよ! ドア開いてるから! 入ってきて!』 「えっ、あ、はい!」 今の声は昨日の先代に間違いない。 まったくせっかちだ、話し終わる前に“入ってきて!”だもの。 って、あれ……? ちょっと待てよ? なんでフルネームを知っているんだろう? 昨日は特に名乗らなかったと思うけど。 もしかしてハローワークで僕の書類を見たのかな? それともこれが霊視というやつなのか……?
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