第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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◆ 「うわぁ、美味しそう!」 ささくれたベンチの真ん中にお弁当の一部を広げ(すっごいいっぱいあるからね)、ご馳走を挟んで左右に座った僕達は、さっそくオニギリを手に持ち「いただきまーす」をした。 お弁当はカラフルで、黄色い卵焼きに、タコさんカットのソーセージ、ブロッコリーとベーコンのバターソテーにプチトマト、定番の鳥の唐揚げ(弥生さんの大好物)に、ポテトサラダ……他にも沢山あるっ! 「弥生さん、良いお嫁さんになるよー! めっちゃ美味しい!」 本当に美味しい! 三カ月の訓練期間、ジャッキーさんはコレを毎日食べていたのかと思うと、ジェラシー……僕も毎日食べたい! 「ははは……お嫁になんていけるのかなぁ」 あ、そうね。 つい先週、七年の長き恋が終わったばっかりだった。 でも、弥生さんならモテそうだし、好きだって言ってくれる人はすぐに出てきそう。 僕もエアキスで一時は結婚したいって思ってたくらいだし。 ただね、あとは弥生さんが誰かを好きになれるかどうかだよね。 「まぁ、あと10年して僕も弥生さんも結婚してなかったら、あまり者同士で結婚すればいよ。あ、オニギリ、鮭だっ!(もぐもぐ)」 「あははは、10年経ったらアタシは48だ。(カラアゲカラアゲ)エイミーちゃん、わざわざそんなオバサンと結婚しなくても(オチャゴクゴク)」 「いやぁ、特メイ班のメイクテクがあれば、永遠の20代半ばだから問題ないよ(オチャゴクゴク)。てかメイクしなくても綺麗だと思うよ? 特メイ班メイクって大変じゃないの?(もぐもぐ)」 「や、そうでもないよ。(プチトマトパクッ)ポイントさえ押さえれば特メイ班メイクはトータル10分でいける(カラアゲカラアゲ)。だってさ、あのマルチーズ先生をドーベルマンに仕上げた時だってほんの5分程度だったろ?(カラアゲサイコー)」 「うん、早かった! 大澤先生、あっという間に悪霊に変身しちゃったもんね(モグモグパクパク)。そっか、生者が来たらすぐに変身しなきゃだから、時間勝負なんだ(タマゴヤキパクパク)」 「そうそう(カラアゲカラアゲ)、だから特メイ班メイクって最高なんだよね。つか、たぶんクゾ水渦(みうず)にメイクしても相当変わるよ。絶対(ゼッテェ)してやんないけど(カラアゲカラアゲカラアゲー!)」 「てか、弥生さん! さっきから唐揚げばっかり食べてる! 卵焼きとか野菜も食べなさいよ!(もぐもぐ)」 「や、ごめん。アタシ、唐揚げ大好きでさ。大丈夫、まだ唐揚げあるから」 「え、そうなの? まだ唐揚げ控えてるの? てかどんだけ唐揚げ好きなんだよ。じゃあ今度、僕、唐揚げ作ろうか?」 「ホント!? 食べたい! 作って!」 てかこの人、よく食べるなぁ。 見てて気持ち良いわ。
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