第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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元々霊力(ちから)はアタシの中に眠ってたんだろう。 周りをウロついていた黒い人形(ひとがた)……悪霊達に対抗出来る霊力(ちから)は、頭の中に降ってきた文字達に導かれ開花した。 サイコーだったよ。 今まで散々苦しめられた。 黒い悪霊達は木刀の塵に消えたんだから。 それからのアタシは、怒りが湧くたび木刀片手に、悪霊狩りに精を出した。 ただ、一つ問題があってさ。 木刀なんか持って歩いてりゃ当然捕まる。 銃刀法なんちゃらというヤツだ。 捕まらない為には注意が必要で、悪霊狩りの最中に人の気配が近づけば、中断せざるを得ない。 イイトコで終わらされるとめちゃくちゃストレスが溜まる。 そんな時、また頭の中に文字が降ってきたんだ。 【チカラのつかいかた いっぱいあるよ チカラでカタナをつくるの ボクトウいらない サァ こうさくのオジカンデス】 カタコトなのか、それとも子供なのか、文字の主は簡単な言葉を降らせアドバイスをくれるけど正体が分からない。 でもさ、考えたって答えは出ない。 だからいいやって放っておいた。 そんな生活を数年送り、二十歳(ハタチ)を越えて大人になって、さすがに毎日狩りはしなくなった。 そうね、せいぜい週三回に数は減ったかな。 そしたらさ、それまで頭の中に降るのは文字だけだったのに、なんだか細かいパーツみたいなのが降り始めたの。 最初は気にも留めなかった。 だけど更に数年後。 降るままに放っておいたパーツは、ある日突然組み立てられて完成したんだ。 頭の中で、ソレ(・・)は、可愛くおじぎしてくれて。 【かんせい かんせい そっちにイクね こわがらないで やよいのミカタ】 と、身体の中からずるりと出てきたのが……アタシの守護であるヤヨちゃんだ。 ここまでが、アタシとヤヨちゃんの出会いのお話。 じゃあ、ヤヨちゃんってなんなんだ? 何処から来たんだって話だよな。 それがね。
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