第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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『どうして……こんなコトになっちゃったんだろ……好きな事してって言ったのは……そういう意味じゃないよ……』 もっとも過ぎて何も言えない。 僕にとって弥生さんは大好きな人だけど、マジョリカさんにとっては悪夢そのものなんだ。 拭っても拭っても止まらない涙はそのままに、マジョリカさんは言いにくそうに、声を落としてこう言った。 『ねぇ……ジャ、ジャッキは……今、大倉弥生の所にいるの……?』 え……? それはどういう意味……? だって弥生さんとジャッキーさんは、もう逢わないと決めた。 弥生さんも怪訝な顔で「いや……いないよ、」と答える。 『本当に……? もう何日も連絡がないんだよ……いつもなら毎晩絶対あるのに、この一週間で連絡があったのは一度だけ。……その時……現世に……す、好きな(ひと)が出来た……って言われたんだ……通信はさ……ジャッキからしか繋げられない……ウチから連絡出来ない……ジャッキ……今、どこで何をしてるか分からなくて……心配なの』 連絡が来なくなった……? ああ、そうか……好きな(ひと)が出来たと言われただけじゃなく、それを最後に音信不通になってしまって、居ても立っても居られなくて現世に来たのか…… しゃくりあげて泣きながら、それでも言葉を繋ごうと必死なマジョリカさんに、僕まで泣きそうだった。 『ジャッキはさ……好きな人は出来たけど……抱き合った事は一度もない……付き合う訳でもない……二度と会うつもりもない……って……それと……信じてほしい……マジョのコトも変わらず愛してるって言ったんだ……意味がわかんないよ……何バカな事言ってるの? って、ウチ、めちゃくちゃ泣いて、めちゃくちゃ怒って……そしたら……「もう誰にも嘘をつきたくないんだ」って……ねぇ、ジャッキを隠さないで……今、どこで何をしてるのか……知ってる事はみんな教えて』 ああ……ジャッキーさんはマジョリカさんにも言ってしまったんだ。 本当に嘘が嫌になってしまったんだな。 だけど、それはあまりに不器用すぎるよ。
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