第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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泣きじゃくるマジョリカさんに、弥生さんの所にジャッキーさんはいない事、おそらく自宅にいるはずだと説明すると、少しだけ安堵を色を滲ませた。 そして言葉を繋げる。 『ジャッキを問い詰めたよ。なんて(ひと)? 年は? 仕事は? どっちが先に好きになったの? って。最初ジャッキは答えてくれなくて、しつこく聞いて、やっと名前だけ白状したの。だけど……ウチ……聞いて驚いたんだ……なんでよりによって大倉弥生(・・・・・・・・・・)なの? って、』 ん? んー? あのー……それどういう意味ですかね? マジョリカさん、弥生さんの事前から知ってるんですかね? てか、ウチのお姉さま、黄泉の国でなんかやらかしちゃってるんですかね? まだ死んでないから黄泉の国逝ったコトないと思うんですけど。 横を見れば、弥生さんもなんだか腑に落ちない表情だ。 「アタシ何かしたの?」な、顔をしてる。 そこ、詳細を聞きたいトコだけど……今、聞ける空気じゃない。 後で僕が聞き出そう。 めちゃくちゃ気になるよ。 『ねぇ、なんで? ジャッキにはウチがいるんだよ? 大倉弥生はそれ知ってたんでしょう? なんで? ジャッキ返してよ、ウチラを元に戻してよ。大倉弥生ってそういう人だったの? ウチそうじゃないと思ってたのに、ねぇ、黙ってないでなんか言いなよ!』 語気強く、声を荒げるマジョリカさんの髪の星が、真っ赤に変化していた。 あれは……感情とリンクしているのだろうか……? 物凄い怒りの感情を感じる。 だけど仕方がない、マジョリカさんの怒りは最もなのだ。 弥生さんは……なんと答えるのだろう。 「マジョリカ……悪いけど、ここからはプライベートな話って事で、普段通り喋らせてもらう。堅苦しく喋るのは得意じゃない。そっちばかりに気を取られて上手く話せない」 『なんだっていいよ』 「そか……あのさ、ごめん」 『………………』 「違うんだ、ジャッキーは悪くない。悪いのはみんなアタシで、最初に好きになったんだ。まだ、ジャッキーにマジョリカがいるって知らなかった頃に告白して振られた。そのまま諦めれば、こんな事にはならなかったのに、アタシがしつこく想い続けちゃったんだ、」 『それで? ぜんぶ言いなよ。それだけじゃないんでしょ、』 「うん……途中、マジョリカがいるって知ったのに、それでもアタシがしつこくした。ジャッキーは嫌がってたよ。マジョリカの事が好きだから、大事だから、マジョリカしか抱けない、愛せないって、ずっとずっと言われ続けてきた。本当だ、アイツはマジョリカを深く愛してる、アタシなんか入る余地はない。……ジャッキーは被害者なんだ。アタシにしつこく追い回されて、迷惑してたと思う」 ……事実と少し違うみたいだけど。 弥生さんがそういう事にしたいなら、とりあえず今は黙ってるけどさ。 でもね、ジャッキーさんはマジョリカさんに、弥生さんが好きだって言ってしまってるんだよ。 それをどう誤魔化すつもり? アナタ、そんなに器用に嘘がつけると思えないけどな。 まぁ、少し見守りますが。
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