2366人が本棚に入れています
本棚に追加
泣きじゃくるマジョリカさんに、弥生さんの所にジャッキーさんはいない事、おそらく自宅にいるはずだと説明すると、少しだけ安堵を色を滲ませた。
そして言葉を繋げる。
『ジャッキを問い詰めたよ。なんて女? 年は? 仕事は? どっちが先に好きになったの? って。最初ジャッキは答えてくれなくて、しつこく聞いて、やっと名前だけ白状したの。だけど……ウチ……聞いて驚いたんだ……なんでよりによって大倉弥生なの? って、』
ん? んー?
あのー……それどういう意味ですかね?
マジョリカさん、弥生さんの事前から知ってるんですかね?
てか、ウチのお姉さま、黄泉の国でなんかやらかしちゃってるんですかね?
まだ死んでないから黄泉の国逝ったコトないと思うんですけど。
横を見れば、弥生さんもなんだか腑に落ちない表情だ。
「アタシ何かしたの?」な、顔をしてる。
そこ、詳細を聞きたいトコだけど……今、聞ける空気じゃない。
後で僕が聞き出そう。
めちゃくちゃ気になるよ。
『ねぇ、なんで? ジャッキにはウチがいるんだよ? 大倉弥生はそれ知ってたんでしょう? なんで? ジャッキ返してよ、ウチラを元に戻してよ。大倉弥生ってそういう人だったの? ウチそうじゃないと思ってたのに、ねぇ、黙ってないでなんか言いなよ!』
語気強く、声を荒げるマジョリカさんの髪の星が、真っ赤に変化していた。
あれは……感情とリンクしているのだろうか……?
物凄い怒りの感情を感じる。
だけど仕方がない、マジョリカさんの怒りは最もなのだ。
弥生さんは……なんと答えるのだろう。
「マジョリカ……悪いけど、ここからはプライベートな話って事で、普段通り喋らせてもらう。堅苦しく喋るのは得意じゃない。そっちばかりに気を取られて上手く話せない」
『なんだっていいよ』
「そか……あのさ、ごめん」
『………………』
「違うんだ、ジャッキーは悪くない。悪いのはみんなアタシで、最初に好きになったんだ。まだ、ジャッキーにマジョリカがいるって知らなかった頃に告白して振られた。そのまま諦めれば、こんな事にはならなかったのに、アタシがしつこく想い続けちゃったんだ、」
『それで? ぜんぶ言いなよ。それだけじゃないんでしょ、』
「うん……途中、マジョリカがいるって知ったのに、それでもアタシがしつこくした。ジャッキーは嫌がってたよ。マジョリカの事が好きだから、大事だから、マジョリカしか抱けない、愛せないって、ずっとずっと言われ続けてきた。本当だ、アイツはマジョリカを深く愛してる、アタシなんか入る余地はない。……ジャッキーは被害者なんだ。アタシにしつこく追い回されて、迷惑してたと思う」
……事実と少し違うみたいだけど。
弥生さんがそういう事にしたいなら、とりあえず今は黙ってるけどさ。
でもね、ジャッキーさんはマジョリカさんに、弥生さんが好きだって言ってしまってるんだよ。
それをどう誤魔化すつもり?
アナタ、そんなに器用に嘘がつけると思えないけどな。
まぁ、少し見守りますが。
最初のコメントを投稿しよう!