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今度はマジョリカさんが腑に落ちない顔をしている。
ジャッキーさんは、現世に好きな女が出来たと言ったんだ。
それなのに、弥生さんの一方的な片想いという言い分とアンマッチが生じる。
当然、ソコ、突っ込むよね。
『……ジャッキは、大倉弥生を好きになったって言ってたよ。二人の言ってる事が違うんだけど、』
「それはさ、たぶんアイツはアタシに同情したんだよ。いい年して聞き分けもなく追い回して、年だけ取っちゃって、可哀想に思って、ぜんぜんジャッキーのせいじゃないのに責任感じたんだろ。アイツは変に優しい所があるから、同情と好きを混合したんだ。目を覚ませば気付くはずだよ」
ん……ちょっと苦しい言い訳だ。
そう思うのは、僕が事情を知っているからだろうか?
マジョリカさんは『……それ……ホントか?』と、少しだけ険の取れた顔で、弥生さんさんを視詰めている。
「ああ、悪いのはぜんぶアタシだ。ジャッキーは悪くない」
『ふぅん……だけど大倉弥生の気持ちは?
まだジャッキが好きなんじゃないの? 忘れられなくて、しばらくしたらまたしつこく追い回すんじゃないの? そんな事するつもりなら、ウチ……絶対に許さない』
「いや……心配しなくていいよ。先週、話をした。ジャッキーも言ってただろう? もう会わないって決めたんだ。ああ、言っておくけど元々頻繁に会ってた訳じゃない。アタシがしつこく誘った。同情でゴハンくらいは付き合ってくれた、それだけだ。ジャッキーはアタシから解放されたんだよ、」
弥生さん、泣きたいのをすごくガマンしてるんだろうな。
頑張って嘘ついてる。
でも、ジャッキーさんをまだ好きかって、それに対しては答えないんだね。
そこだけは嘘つきたくないのかな。
『確かに言ってた……もう大倉弥生とは会わないって、』
弥生さんはマジョリカさんの口から聞く、ジャッキーさんの『もう会わない』という言葉に微かに唇を噛んだ。
「……二人には迷惑をかけた。二度とジャッキーの前に姿を見せないから、」
これで……解決の方向に向かうのだろうか。
弥生さんが一方的にジャッキーさんを追い回した事にして、ジャッキーさんの想いは同情を錯覚したのだと言い張って、もう二度と姿を見せないと誓って。
事実とは違う嘘を並べた弥生さんは、ジャッキーさんとマジョリカさんが上手くいく事だけを願っている。
ジャッキーさんがつきたくないという嘘を、弥生さんがかわりについている。
だけど……ジャッキーさんは、こういうのを望んでいるんじゃないと思うんだけどな。
僕からも少し、話を聞いてみてもいいかな。
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