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大倉弥生はしょっちゅう無茶を言うの。
それは”光る道”だけじゃない。
黄泉の国には、各星の凶悪な悪霊を監視・駆除する特殊部隊がいるんだ。
各星各所に憑りつく悪霊達。
各所回って順番に駆除・回収に行くけれど、数が多くていっぺんに対処はできない。
だから順番が先の悪霊はマークして見張ってるの。
監視中、もしも暴走して生者に害を成す時は、黄泉の特殊部隊が、優先して各星現場に向かうんだ。
だけど……大倉弥生は特殊部隊が動く悪霊さえも滅してしまう。
滅してくれるのは良いの、助かるし。
でもね、滅した後に大量に発生する瘴気を『コレなんとかしてーっ!』って、【光道開通部】に呼びかけてくるんだけど……言われても困る……だってそれ、ウチラの仕事じゃないもん、してあげたくも出来ないもん。
だからそのたび、ウチが特殊部隊に取次ぎをするコトになるんだ。
いつだってこの調子だから、【光道開通部】のオペレーター達は大倉弥生の呼びかけにビクビクしてる。
でもね……ウチはね、それを密かに楽しんでたの。
「マジョリカチーフー! また大倉弥生が無茶言ってきたー!」
って、エスカレーションされるのが面白くもあったんだ。
エスカレされれば大変だけど、その分燃えた。
ウチと大倉弥生の勝負だって思ってた。
いつだってウチが勝ってきたんだから。
無茶な要求、ぜんぶクリアしてやった。
ホント……無茶ばっかり。
でも、キライじゃなかったよ。
だって、大倉弥生はいつだって真剣で一生懸命なんだもの。
全力だから要求が無茶になるんだ。
手を抜いたり、余計なコトはしませんって霊媒師だったら、大した依頼はしてこない。
大倉弥生からは、ちゃんと死者を送り出してあげようって気持ちが、必死さが、すごくすごく伝わてくるの。
会ったコトはないけど、声しか聴いたコトはなかったけど。
10年近くも大倉弥生と勝負してたから、多少はわかってたつもり。
大倉弥生は強引だけど死者の事しか考えてない、根は……優しい子だ。
いつか大倉弥生が死んで黄泉の国に来たら、一緒に光道で働きたいなって、特殊部隊に取られないようにしなくっちゃって思ってた。
きっと仲の良い友達になれるって思ってたんだ。
なのにさ……なにも、こんな。
好きな人の事で勝負なんてしたくなかったよ。
ウチ……大倉弥生が好きだったのに。
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