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◆
~~ドアのこちら側・マジョリカ1~~
※微グロ、ブツブツ注意です。ごめんなさい。
怖い……怖いよ……向こうでなにが起きてるの……?
大倉弥生は、岡村は大丈夫かな……?
摺りガラスに映るシルエットが何度も変わる。
赤黒いモノでいっぱいになったかと思うと、ただの薄闇になる。
それを何度も繰り返してる。
向こう側には悪霊がいるんだよね……?
大倉弥生も岡村も出てこない……
無事かな、怪我してないかな、ピンチじゃないかな……?
ヤダよ、あの二人に光る道なんて伸ばしたくないよ。
大倉弥生は嫌いだけど……悔しいけど嫌いになりきれないんだ。
あの子……ウチの事、絶対に守るって言ってた。
ウチがいなくなれば、ジャッキと一緒にいられるのに。
守るって言ったあの目にウソはなかった……そういう子だから、ジャッキは好きになっちゃったのかな。
ウチと手を繋いでくれる小さな手。
急に握る力が強くなり、ヤヨイはジッと玄関の方を視詰めていた。
どうしたの? と目線を玄関に移動させると、
『ヤヨイ……アレ……!』
視れば幽霊かどうかも解らない、男か女かも解らないナニカが、ズズズズと不気味な音を響かせて、玄関のドア、天井、壁から、生えるように家の中に入ってくる。
き、気持ち悪い……何なの……?
形は人に似てるけど……皮膚が……霊体全体、巨峰の粒のような丸いモノがビッシリと付着して、視ただけで嫌悪感でいっぱいになる。
そんな化け物が次々とウチラに向かって迫ってくる。
玄関からここまで数メートルもない……ヤダ……ヤダヤダヤダ!!
来ないで、来ないで、来ないで!!
ヤヨイと一緒に逃げよう、でも、足がすくんで動かない。
どうしよう、どうしよう……!
大倉弥生は、ジャッキは、いつもこんなのを相手にしてるの?
駄目だよ、危険だよ、ああ、どうしよう……!
【まもルよ、】
あ……ふわりと降ってきた文字。
ウチの目の前、静かに降りたヤヨイのコトバ。
大倉弥生とそっくりな、幼い顔がウチを視上げてる。
ちっちゃな女の子とは思えないしっかりとした眼で、ウチをジッと視詰めてる。
【ダイジョブ、はなレないで】
小さなヤヨイは繋いでいない左手をスッと上げると、天から【守】の文字を降らせ、それは床に着くとシャボンのように弾けたんだ。
ブンッと鈍い音がしたのと同時、ウチとヤヨイは一瞬で紫の光に包まれた。
イメージは大きな卵。
【ケッカイ ヤヨイとまじょりか まもる】
とうとう傍まで来てしまった全身ブツブツの悪霊達は、ヤヨイの卵の結界の外側をさすったり叩いたりしていて……紫色の結界は透明で向こう側が視えるから、囲むブツブツが至近距離で目に入り、ウチはもう吐きそうで怖くてたまらなかったんだ。
ヤヨイ……ダイジョブだよね?
結界、壊れないよね?
怖いよ……気持ち悪いよ……バラカス……白雪ちゃん……ウチ……もうみんなに会えないかも……
ジャッキはどこにいるの?
ウチを助けて……ウチを……ウチと……岡村と……それから大倉弥生を。
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