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そうでしょそうでしょと首を縦に振りつつ、
「意地を張ったらダメです。本当は逢いたいのに我慢して還ったら、絶対に後悔しますよ。ジャッキーさんだって、マジョリカさんが現世まで来てくれたの知ったら驚くし喜ぶと思います」
『そうかな……ウチ……ジャッキにもう逢えないって言われたのに、それなのに勝手に押しかけて……嫌われないか心配だよ』
この人……その気になれば、どんな男性だって手玉に取れるほどの美人なのに、ピンポイントでジャッキーさんラブすぎだろ。
ま、ジャッキーさんラブは弥生さんもそうだけど。
てか、なに?
あのオジサン、猫にマタタビくらい強烈なナニがを持ってるの?
そういうのあるなら僕にも分けてほしい……って、イカンイカン、脳内脱線を軌道修正しなければ。
「嫌うはずないですよ。だってジャッキーさんはマジョリカさんが大好きなんだもの」
『ん……そうだといいな』
苦さはあるけど、マジョリカさんはそう言って笑ってくれた。
「それから……あのね、弥生さんは本当にマジョリカさんの事を心配してるんです。ジャッキーさんとの事もそうだし、悪霊からマジョリカさんを守ろうと頑張ってます。……許してあげてなんて言いません。ただ、ジャッキーさんと逢わなくていいとか、もう黄泉に還るとか自棄にならないでください。弥生さんは自分が何を言われても良いと思ってるけど、マジョリカさんが黒くなるのは嫌みたいだから、」
僕とマジョリカさんが話をするからと気を遣い、弥生さんは今、少し離れた場所でヤヨちゃんと遊んでる。
マジョリカさんも顔を上げ、弥生さん達を視た。
『悪霊はブツブツのヤツだけじゃなかったんでしょう? 最初に赤黒いのが視えたもの。大倉弥生はアレを倒してウチを守ってくれたんだろうけど……何も言わないんだ。簡単じゃなかったはずなのに恩着せがましいコトのひとつも。……はぁ……なんでジャッキなんだろ……誰か別の男を好きだったら素直に応援できるのにな』
ジャッキーさんじゃなければ良かったのに、か。
僕もそう思うよ。
この人を好きになっちゃ駄目だって、頭では解ってるはずなのにね。
僕は今まで、そこまで人を好きになった事がない。
付き合った人はいるけど、弥生さんやマジョリカさんを見ていると、熱量が全然違う。
二人とも、ジャッキーさんを大好きな分辛いんだろうな。
今の弥生さんは“好き”の気持ちを封印してる。
マジョリカさんとジャッキーさんがうまくいく事を願ってる。
今回の事がすべて終わったら、夫婦がうまくいったなら。
きっと弥生さんは喜ぶのだろう、それと同時にめちゃくちゃ泣くんだろうな。
その時僕に何が出来る?
とりあえず……シチューとキッシュとパンと、それから唐揚げをいっぱい作ろうかな。
そう、弥生さんと僕が食べきれないくらいたくさんだ。
いっぱいあって食べきれなくて、次の日も、また次の日も一緒に食べなくちゃいけないくらいに。
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