2366人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
「こんのクソ野郎共がぁぁぁっ!! オマエら全員ブッ***! ミンチにして****! オマエらのケツの**に******* 奥歯*******てやるからなぁぁっ!!
一体残らず滅してやるぜぇぇぇぇ!! 」
聞くに耐えない下品な暴言。
水を得た魚。
酒を得た弥生。
猫を得た僕。
そのくらいの勢いで弥生さんのテンションは限界値を越えていた。
悪霊達の塊に先頭切って霊刀を振り回しているのだが、今回は二刀流だ。
超やる気を感じるんですけど。
猫科動物のようなしなやかな動き。
横に飛んだかと思えば、着地と同時に上に飛ぶ。
柔軟な身体はよくしなり、複数からの攻撃を踊るようにかわしてる。
かすり傷一つないし、息もまったく乱れてない、この状況でまわりをよく視ている証拠だ。
攻撃もまた激しかった。
クロスにさせた両腕を、戻す勢いでの二体斬り。
握る霊刀は凶悪な蛇となり、悪霊達の首を、胸を、両眼を次々と斬り裂いて、飛散前の霊体が山となって積みあがる。
死者であるがゆえ斬りつけても血は出ない。
だがその代わり、粘度高めな黒い液が、四方八方弧を描き、優美な水芸のように宙を舞った。
一方、喧嘩デビュー戦の僕と言えば。
「大変恐縮では御座いますがぁぁぁ! 撃たせて頂きますぅぅぅっ!!」
弥生さんのアドバイスに従って、大声上げて威嚇しつつの無限霊矢発射中だ。
喧嘩のマナーが分からない。
威嚇のセリフはどういったコトを言えばいいのか?
とりあえず弥生さんのを参考にと思ったけれど、アレは僕には無理だった。
あまりにも上級者向けだ。
なので僕なりのセリフで威嚇をしてるのだ。
最初、僕の威嚇を聞いた悪霊達は、鼻で笑い『コイツならチョロいだろ』と取り囲まれた。
グルリと360度。
良すぎる目には、ガラの悪そうな強面生者達にしか映らない。
『ションベン臭いガキが、俺達にビビってんじゃねぇのかぁ?』
と爆笑されたが、このシチュエーションなら経験があるので問題ない。
前職、お客様相談センターは基本電話応対のみだけど、ご訪問を強くご希望されるお客様もいらっしゃり、そういう時は主任の僕が行ったんだ。
大抵はお客様と僕の二人でお話させて頂くけれど、中にはサプラーイズ!
大人数で歓迎してくださる事も多々あった。
なので、むしろこの感じは懐かしいのだ(これが巨峰野郎共に囲まれたらビビるんだろうけど)。
囲まれた僕は、「大変恐縮では御座いますがぁぁぁ……」と、大声でのご挨拶後に霊矢を連発させた。
外しようのない至近距離は、僕を笑った全ての悪霊を無に戻す。
てか、水渦さんに印の動画撮らせてもらって本当に良かった。
何も出来ないままだったら、マジヤバかったよ。
真っ赤な霊矢を撃ちまくり、悪霊達を次々濃霧に変えて滅してく。
時々弥生さんと目が合うと「エイミーちゃんカッコいい!」と褒めてモチベを上げてくれた。
僕は褒められて伸びるタイプ(ry
うっひょぅ!
弥生さんから褒められたー!
僕、頑張っちゃうから、もっと褒めてー!
最初のコメントを投稿しよう!