第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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◆ 「こんのクソ野郎共がぁぁぁっ!! オマエら全員ブッ***(ピーーー)! ミンチにして****(ピーーー)! オマエらのケツの**(ピー)*******(ピーーーーーー) 奥歯*******(ピーーーーーー)てやるからなぁぁっ!! 一体残らず滅してやるぜぇぇぇぇ!! 」 聞くに耐えない下品な暴言。 水を得た魚。 酒を得た弥生。 猫を得た僕。 そのくらいの勢いで弥生さんのテンションは限界値を越えていた。 悪霊達の塊に先頭切って霊刀を振り回しているのだが、今回は二刀流だ。 超やる気を感じるんですけど。 猫科動物のようなしなやかな動き。 横に飛んだかと思えば、着地と同時に上に飛ぶ。 柔軟な身体はよくしなり、複数からの攻撃を踊るようにかわしてる。 かすり傷一つないし、息もまったく乱れてない、この状況でまわりをよく視ている証拠だ。 攻撃もまた激しかった。 クロスにさせた両腕を、戻す勢いでの二体斬り。 握る霊刀は凶悪な蛇となり、悪霊達の首を、胸を、両眼を次々と斬り裂いて、飛散前の霊体が山となって積みあがる。 死者であるがゆえ斬りつけても血は出ない。 だがその代わり、粘度高めな黒い液が、四方八方弧を描き、優美な水芸のように宙を舞った。 一方、喧嘩デビュー戦の僕と言えば。 「大変恐縮では御座いますがぁぁぁ! 撃たせて頂きますぅぅぅっ!!」 弥生さんのアドバイスに従って、大声上げて威嚇しつつの無限霊矢発射中だ。 喧嘩のマナーが分からない。 威嚇のセリフはどういったコトを言えばいいのか? とりあえず弥生さんのを参考にと思ったけれど、アレは僕には無理だった。 あまりにも上級者向けだ。 なので僕なりのセリフで威嚇をしてるのだ。 最初、僕の威嚇を聞いた悪霊達は、鼻で笑い『コイツならチョロいだろ』と取り囲まれた。 グルリと360度。 良すぎる目には、ガラの悪そうな強面生者達にしか映らない。 『ションベン臭いガキが、俺達にビビってんじゃねぇのかぁ?』 と爆笑されたが、このシチュエーションなら経験があるので問題ない。 前職、お客様相談センターは基本電話応対のみだけど、ご訪問を強くご希望されるお客様もいらっしゃり、そういう時は主任の僕が行ったんだ。 大抵はお客様と僕の二人でお話させて頂くけれど、中にはサプラーイズ!  大人数で歓迎してくださる事も(・・・・・・・・・・)多々あった。 なので、むしろこの感じは懐かしいのだ(これが巨峰野郎共に囲まれたらビビるんだろうけど)。 囲まれた僕は、「大変恐縮では御座いますがぁぁぁ……」と、大声でのご挨拶後に霊矢を連発させた。 外しようのない至近距離は、僕を笑った全ての悪霊を無に戻す。 てか、水渦(みうず)さんに印の動画撮らせてもらって本当に良かった。 何も出来ないままだったら、マジヤバかったよ。 真っ赤な霊矢を撃ちまくり、悪霊達を次々濃霧に変えて滅してく。 時々弥生さんと目が合うと「エイミーちゃんカッコいい!」と褒めてモチベを上げてくれた。 僕は褒められて伸びるタイプ(ry うっひょぅ! 弥生さんから褒められたー! 僕、頑張っちゃうから、もっと褒めてー!
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