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「弥生さん! 大丈夫!?」
手の中の赤い珠を放す訳にはいかない僕は、大声で二人に声を掛けた。
ジャッキーさんが弥生さんを抱え「大丈夫か!」と繰り返し叫んでいる。
鎖に繋がれた悪霊達は歓声を上げ、僕はそれを睨みつけた。
「弥生、弥生、大丈夫か!? どうしたんだ、身体が痛いのか!? 悪霊に何かされたのか!? ……もしかして自分が眠ってる間……おまえに酷い事をしたのか……? まさか……自分の手はおまえを殴ったのか……?」
殴るどころじゃなかった。
弥生さんを持ち上げて、固い地面に叩きつけたんだ。
でもそれはジャッキーさんのせいじゃない。
弥生さんはジャッキーさんの腕の中で苦痛に顔を歪めるも、
「違うよ、そうじゃない。最初にいた悪霊君達、百体以上はいたの。それをエイミーちゃんと二人でやっつけたんだ。さすがに堪えたのかも。あはは、アタシも年かなぁ」
そう嘘をついた。
「本当か? もしも自分が弥生に何かしたのなら……絶対自分を許さない」
ジャッキーさんの声が震えている。
その顔は今にも泣き出しそうだ。
「だから違うって言ってるじゃんか。大丈夫。これでも随分マシになったんだ。さっきまで声が出なかったんだもの。それよりどーしよ。アタシ、使えないじゃん。あ……マジョリカ! あの子を先にジャッキーん家に帰そう。植物結界張り直したから安全だよ。今、エイミーちゃんは両手が使えない。ヤヨちゃんは電池切れ、アタシはこんなだ。ねぇジャッキー、アタシをマジョリカのトコまで連れてってよ」
ジャッキーさんはまだ何か言いたげだったけど、マジョリカさんを安全な家に帰したい、という弥生さんの意見に頷かない訳にはいかなかった。
「分かった」と短く答えたジャッキーさんは、弥生さんを背中に担ぎ、見覚えのある陣の模様を見つけ、そこに向かって歩き出した。
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