第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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「弥生さん! 大丈夫!?」 手の中の赤い珠を放す訳にはいかない僕は、大声で二人に声を掛けた。 ジャッキーさんが弥生さんを抱え「大丈夫か!」と繰り返し叫んでいる。 鎖に繋がれた悪霊達は歓声を上げ、僕はそれを睨みつけた。 「弥生、弥生、大丈夫か!? どうしたんだ、身体が痛いのか!? 悪霊(ヤツ)に何かされたのか!? ……もしかして自分が眠ってる間……おまえに酷い事をしたのか……? まさか……自分の手はおまえを殴ったのか……?」 殴るどころじゃなかった。 弥生さんを持ち上げて、固い地面に叩きつけたんだ。 でもそれはジャッキーさんのせいじゃない。 弥生さんはジャッキーさんの腕の中で苦痛に顔を歪めるも、 「違うよ、そうじゃない。最初にいた悪霊君達、百体以上はいたの。それをエイミーちゃんと二人でやっつけたんだ。さすがに堪えたのかも。あはは、アタシも年かなぁ」 そう嘘をついた。 「本当か? もしも自分が弥生に何かしたのなら……絶対自分を許さない」 ジャッキーさんの声が震えている。 その顔は今にも泣き出しそうだ。 「だから違うって言ってるじゃんか。大丈夫。これでも随分マシになったんだ。さっきまで声が出なかったんだもの。それよりどーしよ。アタシ、使えないじゃん。あ……マジョリカ! あの子を先にジャッキーん()に帰そう。植物結界張り直したから安全だよ。今、エイミーちゃんは両手が使えない。ヤヨちゃんは電池切れ、アタシはこんなだ。ねぇジャッキー、アタシをマジョリカのトコまで連れてってよ」 ジャッキーさんはまだ何か言いたげだったけど、マジョリカさんを安全な家に帰したい、という弥生さんの意見に頷かない訳にはいかなかった。 「分かった」と短く答えたジャッキーさんは、弥生さんを背中に担ぎ、見覚えのある陣の模様を見つけ、そこに向かって歩き出した。
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