第二章 霊媒師面接

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コンコン 「失礼します」 部屋に入ると先代の他にもう1人男性が立っていた。 ツルツルに剃り上げたスキンヘッドに、天井のLEDが見事なまでに反射している眼光鋭い男前だ。 そしてなによりデカい。 スーツの上からでもかなりの筋肉質だという事がわかる。 霊能力者というよりも格闘家のような印象だ。 今日の入社手続きに同席しているという事はこの人が現社長なのだろうか? だとしたらずいぶんと若い社長だな。 僕とそう変わらない、いっても30代半ばくらいだろう。 『良く来てくれたねぇ!』 と、先代が満面の笑みで右手を差し出した。 僕は咄嗟に自分のスーツで手をゴシゴシを拭いてから握手に応じる。 ガシッ! 『いやあ!岡村君みたいな有能な人材が来てくれて本当に嬉しいよ!』 ギュウッ! え? 痛…… 仏のようなニコニコ顔とは裏腹に僕の手を強く握る先代。 お年寄りにしては力が強い…… 「こちらこそ、お声をかけて頂きありがとうございます」 無難な返事を返したけれど、僕の手は先代に握られてジンジンしている。 なにもこんなに強く握らなくてもいいだろうに。 でも、それだけ歓迎してくれているのかもしれないぞ。 このご時世にありがたい事じゃないか……って、なんだ?  誰かが僕を見ているような……先代じゃない……もっと強烈な……強い視線を感じる…… 気になった僕がさり気なく後ろを見ると……いた、視線の主はスキンヘッドさんだ。 彼は僕と先代の握手のあたり一心不乱に食い入るように凝視している。 僕は少々居心地の悪さを感じ、その視線に耐えきれず失礼とは思いながらも先に手を離してしまった。 先代は特に気にする様子も無くこういった。 『じゃあ、そろそろ面談と入社手続きを始めようか。岡村君、こちら私が死んだ後に新しく社長に就任した清水君。年は34歳だから岡村君より少し上だね。元格闘家で高い身体能力と霊力を併せ持つ格闘系霊媒師だ。岡村君の教官になる予定だよ』
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