第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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「「間違いないよ」」 ジャッキと大倉が同時に答えてくれた。 二人共、霊の感情が目に映る。 二人が言うなら間違いない。 『ジャッキ、大倉、聞いて。ウチ、オウチには帰らないよ!』 これからウチの作戦を発表します!  と続けようと思ったのに、間髪入れずにこの二人は、 「「いや、帰ってよ!」」 な、なに? また同時だよ。 なんか息ぴったりでモヤモヤしちゃうんだけど。 『と、とにかく、ウチに考えがあるの。簡単に説明するから意見を聞かせてほしい。あのね……』 …… ………… ……………… 「「(マジョ、)(マジョリカ)すごいな……」」 だーかーらー、なんでさっきから同時に同じコト話すのよー ウチはけっこうヤキモチ焼きなんだからね。 大倉にジャッキはあげないんだからね。 『どう? この作戦ならなんとかなるかな……?』 ドキドキしながら二人の意見を聞いてみた。 霊媒師でもないウチなんかの作戦じゃあ、こんなのダメだよって言われちゃうかな……? 「マジョリカ……あんた、やるな」 大倉弥生がキラキラした目でウチを視てる。 これってイケそうってコトでいいのかな? 「マジョ、この作戦ならリスクがうんと減る。良いと思う。それにこれはマジョにしか出来ない事だ」 あ……ジャッキが褒めてくれた。 嬉しい……ああ、出来る事なら、ご褒美に抱きしめてほしい、キスしてほしい。 『良かった。じゃあ、さっそくバラカスに連絡するから、ちょっと待ってね。ああでも急がなくちゃ。今、岡村一人で頑張ってる』 「バラカスに連絡? マジョも光る道の欠片を持ってるの……? まさか……吞んだの……?」 ジャッキが心配そうにウチを視てる。 吞んだの? って……ああ、言ってたアレか。 ウチと通信したければコレを吞め! って、胡桃くらいの大きさの欠片を、バラカスに呑まされたコト言ってるんだ。 『ううん、呑んでないよ。連絡はね、バラカスが持たせてくれた、このペンダントで出来るんだ。一回しか繋がらないから緊急の時だけ使えって言われたけど、今がその緊急時だもん。えっと……』 自動翻訳機 兼 通信機である星型ペンダントを首から外して、裏側のボタンを確認する……コレを押すだけだったよね。 押したら呼び出し音が鳴るから、出るまで待ってろって言ってたけど…… ポチッ! ↓ トゥル、ガチャッ! ↓ 【マジョリカ、】 え!? もう繋がった!? 『バ、バラカス? 出るの早いね。起きてたの?』 【ああ、マジョリカが現世に行ってから、ずっと通信機の前にいるからな】 『ずっと……? ウソでしょ……?』 【俺は嘘はつかねぇよ。で? ジャッキーの女には会ったのか?】 『うん、会ったよ。今も一緒だ。ジャッキも大倉も隣にいる』 【なんだ、三人揃って修羅場中か。(わけ)えな 】 『も、もう! ヘンなコト言わないでよね! 今、忙しいんだから詳しいコトは帰ったら話すよ! それよりお願いがあるんだ。今すぐ白雪ちゃんに連絡とってほしいの。実はね……』 …… ………… 【分かった。すぐに白雪のトコに行く。マジョリカの居場所は既に把握済みだ。準備が出来次第手配する】 『アリガト。白雪ちゃんにも、ごめんねとありがとを伝えておいて、帰ったら会いにいくとも。ねぇバラカス、大体でいいんだ。時間はどのくらいかかりそう? なるべく早くだと嬉しいけど……無理かな?』 【心配するな、俺と白雪だぜ? 10分だ、10分待ってろ。ああ、それから通信は切るなよ? 一度切ったらもう繋がらねぇ。まぁ、言っても、ソッチにジャッキーがいるなら問題ないか。まぁ、いいや。とにかく待ってろ】 『うん!』 これでいい。 あとは、待つだけだ。
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