第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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「二人には感謝してる、感謝してもしきれない。勝手を承知で言わせてもらえば、愛してるんだ、二人を、マジョも弥生も。どちらか一人を選ぶなんて、とてもじゃないけど出来ないの。だけどこれは自分のエゴだ。本当はいつだって笑っていてほしいのに、身勝手な想いは二人を傷付け悲しませる。マジョ……本当にごめんな。自分は良い夫になれなかったよ。自分といたらマジョは辛い想いをする、だから、」 やだ……やだよ。 もうそれ以上言わないで。 どうしてわかってくれないの? 『だから……だから、もう逢えないって言うの? 別れるって言うの?』 「ん……そうだ。一緒にいてもいなくてもマジョは辛いんだ。だったら離れた方が良い。その方がマジョは幸せになれる。……ああ、マジョ、そんなに泣かないで。今は辛いかもしれない……けどね、大丈夫だから。そう遠くない未来、アナタも弥生も笑っているから、」 …… ………… 遠くない未来、ウチも大倉も笑っている? 何故、そう言い切れるの? ウチも大倉もジャッキが大好きなんだ。 ジャッキが消えたら、ウチらはきっと耐えられない。 笑うなんて絶対無理だよ、きっと毎日泣いてしまう。 それでもジャッキは言った。 未来のウチらは笑ってるって。 そんな事はあり得ない。 ウチらの記憶から、ジャッキが消えてなくならない限り、あり得ない事なんだ。 なのに、 「最後に自分を信じてほしい。かならず笑顔になれる日が来るから」 やだよ……なんでそんな事言うの? なんでそんな事しようとするの? ああ……白雪ちゃんの言った通りだ。 ジャッキはマザースターに逝こうとしてる。 そこで”黒の電塊”を使おうとしてるんだ。
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