第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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ジャッキーってアタシのコト、バカだバカだって言うけど人のコト言えないよね。 ちょっと考えれば分かるコトなのに……はぁぁぁぁ。 あとで最後の説教しとこ、バカなの? 死ぬ気? ってさ。 ………………あれ? なんだろ……なにかが引っ掛かる、 ちょっとおかしくないか…………? よくよく考えればさ、悪霊十体を身体に取り込む。 これがどれだけ危険な事か、霊媒師歴八年のジャッキーが分からないはずないよな……アイツ……まさか……知ってて取り込んだのか……? 危険な事も、死ぬかもしれない事も承知で、霊力(パワー)サーバーを使わずに、他の誰かをサポートにもつける事もせずに。 なんの為に……? …… …………あ、 アイツは昔廃ビルで、あわよくば悪霊達に殺されようと………… ああ、クソッ!  バカはアタシだ! 今回の事、まるで八年前のトレースじゃないか! アイツ……死ぬ気だったんだ。 どうしてだよ、マジョリカと一緒にいる為か? いや、違うだろ……だって言ってた。 ジャッキーはマジョリカにもう逢えないと告げたって。 アタシとアイツはよく似てる。 考え方も感覚も何もかも。 アタシ、これからどうしようとしてる? ジャッキーとマジョリカに仲直りをしてもらいたいから、二人の前から姿を消そうと考えた。 好きな女が二人いるから迷うんだ、だったら迷わせなければいい。 アタシがいなくなれば、アイツはもう迷わなくて済むと。 そういう事か……勘弁してくれ、ふざけんな。 方法までは分からない、難しい事も分からない。 だけどアイツは二度死ぬ気だ。 一度目はアタシから離れる為に生者の命を終わらせて、二度目はマジョリカから離れる為に死者の魂を消滅させる気なんだ。 ジャッキーがいるから女二人を傷付ける。 それなら自分が消えればいいと考えたんだ。 くだらない事考えやがって。 消えたからって本当の解決にはならないよ。
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