第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

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~~ジャッキーとマジョリカ、そして大倉弥生・弥生視点~~ アタシは階段を駆け上がった。 ホントはさ、一階(した)から電話くらいはいれるべきなのかもしれない。 ____二人で話してるトコ悪いんだけど話があるんだ、 ____今から部屋に行ってもいいか? ってさ。 だけど今のアタシはブチギレていて、そんな余裕は欠片もない。 勝手に消えようとしないで。 アタシはさ、アンタとマジョリカに幸せになってほしいから気持ちを諦めたんだ。 独りになっても、報われなくても辛くても、アンタが幸せなら耐えられる。 なのにさ、肝心要のアンタが消えたら意味がない。 そんなの絶対許さない。 逝けるもんなら逝ってみろ。 アンタが逝くならアタシも逝くから。 独りでなんか逝かせるもんか。 ドンドンドン!! ガチャ!! 一応ノックはしたからな、勝手に入らせてもらう。 「ジャッキー!」 アタシが怒鳴りながら部屋に入ると、中ではマジョリカが泣きながら声を荒げていた。 『誤魔化さないで! ウチ、白雪ちゃんから聞いたんだよ。ジャッキはさ、命を終わらせる気だよね? それはウチといる為じゃない。だって黄泉の国に来る気はないんだもの! マザースターに逝く気でしょ? ”黒の電塊”を取りに逝くんでしょ? それで、ジャッキを魂ごと消してしまう気なんでしょ!?』 魂ごと消してしまう……? ああ、そうか。 マジョリカも知ったのか、コイツのバカな考えを。 それにしても、“マザースター”って、”黒の電塊”って……なんだ?  ジャッキーをぶっ飛ばすつもりで部屋(ココ)に来たというのに、マジョリカの鬼気迫る大声に出鼻をくじかれてしまった。 責められるジャッキーは、困った顔でマジョリカを視ていたけど、アタシの事もチラリと見たんだ。 目が合って、なのに言葉は発さずに「助けてくれよ」と、その顔は言っていた。 悪いな、ジャッキー。 そりゃ無理だ。 そのままマジョリカにボコられちまえ。 大股で部屋の中に入り込み、アタシはマジョリカとジャッキーの傍にドカッと座る。 空気なんか読んでられるか。 「マジョリカ、邪魔して悪い。あのさ、今話してたのって、コイツが勝手に消えようとしてる件か?」 いきなり本題。 そんなアタシにマジョリカは、泣き顔を向けながらこう言った。 『……そうだよ。大倉、なんであんたがそれを知ってるの? ウチらの話を聞いてたの?』 クソ水渦(みうず)じゃあるまいし、立ち聞きなんかするかよ。 チガウ、そうじゃない。 「いや、話を聞いていた訳じゃない。なんて言うのかな、んー、勘だ。コイツが何かバカな事しようとしてるんじゃないかって、一階(した)で寝てたらひらめいたんだ。なぁ、詳しく教えてくれよ」 グレーとダークグレー。 アタシの目にはそう視えるマジョリカの瞳は、涙に濡れて疲れ切っていた。 それでも、『大倉には関係ない』とアタシを跳ね付ける事もなく、事情を話してくれたんだ。
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