第十六章 霊媒師 弥生の気持ち

212/222
前へ
/2550ページ
次へ
~~新たな未来へ1・弥生視点~~ ここ最近、アタシはド貧血のフラフラだ。 せっかくの長期休暇だっていうのに、直近で三日は寝て過ごしている。 原因はアレだ、口寄せ。 もうかれこれ二週間、マジョリカを現世に留めているから、霊力(ちから)の消費が激しいのよね。 とはいえ朝昼晩の三食、キチンと高カロリーな食事をとっていれば、一カ月くらいの口寄せは余裕のはずなんだ。 それがこんなコトになったのは油断したから。 長期休暇に浮かれてしまって、休みだしー、夜更かしても平気だしーって、昼間からぶっ通しで徹夜までしてDVDを視てたのが悪かった。 ついつい夢中になって、二食ほどゴハンを食べるの忘れちゃったんだよ。 そのせいで、立てば視界がホワイトアウトするくらいのド貧血。 買い物にも行けやしない。 あーもーぜんぶジャッキーのせいだ。 アタシが視てたDVD。 ジャッキーがスタントマンだった頃に吹き替えた映画とドラマで、顔なんて映ってないのに、身体しか映ってないのに、(いや、むしろあの筋肉が主食かもだが)一人キャーキャー言いながら視てたんだ。 あーしかし最高だった。 へへ、明日は編集するんだ。 アイツのスタントシーンだけを集めた、永久保存版のお宝動画を作るんだ。 で、それを、死ぬまで一生、ずーーーーーっと、視続けようと思いますっ! 変態上等っ! それはそれとして。 ダメだ……お腹空いた。 食べる物、なにか残ってるかなぁ。 ここ三日、買い物に行ってないから、家中の食料を食べ尽くしちゃったんだよなぁ。 ベッドから落ちるように這い出たアタシは、フローリングをほふく前進する。 とりあえず冷蔵庫に行ってみるか。 空っぽなのは知ってるんだけど、念のため。 えいっ! 祈りながら冷蔵庫を開けると……やっぱ空っぽだわ。 あるのはマヨネーズにケチャップにバターにビール。 すきっ腹のド貧血でビールはキツイ。 いっそマヨネーズでも吸うか(もしくはケチャップ)。 いや待て、さすがにソレはダメだろ。 どーしよ。 エイミーちゃんに電話しようか。 なんか食べ物持ってきてクダサーイ! 的な。 あーでもなー、あの子だって忙しいだろうからなぁ。 あんまり甘える訳にもいかないよなぁ。 誰か食べ物を持ってきてくれる人。 飲み友に頼みたいトコだけど……去年の事があって、ちょっと怖いんだよね。 普段あれだけ仲良くて、バカな話しかしてなくて、なのにアタシは襲われかけた。 あの時、ジャッキーが来てくれなかったら……そう思うと身体が震える。 だけどさ、アタシを助けてくれたジャッキーはもういない。 これからはリアルに独り、親にも誰にも頼れない。 だから、気を付けて生きていかなくちゃな。 あーもーやーだーおなかすいたー! なんか食べないとマジで死んじゃうー! どーしよー、ヤヨちゃんじゃ買い物には行けないし……あ、そっか。 なんで思いつかなかったんだろ。 アタシってば普段自炊だから、その発想が抜け落ちてたわ。 出前頼めばいーんじゃーん! ネットで調べりゃ、この辺の地域で運んでくれる店も分かるだろ。 さぁ! 検索のお時間です! ポチポチポチポチ わぁ! いっぱいあって迷っちゃうなー! なるべく高カロリーなのを選ぼう。 栄養のバランスとか、今回は無視の方向で。 まずは霊力(ちから)になりそうな、高カロリーの油とか脂とかアブラとか。 そう、給油する感じのゴハンがいいな。 おっ! ピザLサイズなんてどう? これを二枚も食べれば、元気になれそう。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加