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ひとしきり笑った後、ジャッキーは少し黙って、そして真剣な顔をアタシに向けてこう言った。
「まぁ、責任云々というのは冗談で本題に入るよ。ここからは真面目な話だ。あのね、自分とマジョは、今後の弥生との付き合い方について、ここ数日、連日話し合ったんだ」
「アタシとの付き合い方……?」
「そうだ、‘’弥生ともう会わない‘’という選択肢は自分達になかったからな。二人共悩んだよ。散々ぶつかり合った。けど、腐らず、諦めず、とことん話した。それで昨日の深夜、やっと二人の意見がまとまったんだ。自分とマジョリカ、遠慮も我慢もしていない、ほぼ納得のいく結論に辿り着けたと思う。後は、弥生の気持ちを聞いて、そこでまたぶつかるなら、すり合わせをしていきたい。もちろんNOと答えたってかまわない」
ジャッキーの顔があまりにも真剣で、アタシは少し怖くなった。
今後の付き合い方ってどういう事?
つーか、そもそも付き合い続くの?
二人はアタシに何を望んでるんだろう?
アタシはそれに応える事が出来るのかな?
ゴツゴツの大きな手が戸惑うアタシの片頬を包み、指先は瞼に触れた。
ジャッキーはスゥと息を吸う、そして。
「最初に言い出したのはマジョリカなんだ。何度も何度も、命懸けで助けてくれた大倉を独りには出来ない。大倉がいなければウチは地獄に流されていたって、」
低音が胸に、頭に、細胞に、声はいつもよりも深く入り込んでくる。
「マジョリカにとっても、自分にとっても、弥生は感謝してもしきれない恩人だ。だけどそれだけの理由で決めたんじゃない。恩義に報いるのなら、探せば他にも方法があるからな。自分の理由は単純だ。嫌になるくらい弥生を愛しているし、おまえみたいな、ちっとも強くなくてメンドクサイ女を独りしたら心配でたまらないからだ」
言ってる意味がよくわからない、耳の奥がズキズキして、鼻の奥もズキズキして、涙が溢れそうになる。
アタシはジャッキーの話す言葉を聞き逃さまいと必死になった。
「マジョリカはこう言ってたよ」
____大倉とはもう十年の付き合いで、ジャッキよりも長いんだ。
無茶ばかり言う霊媒師、死者の為に一生懸命になれる優しい子。
あの子は……ウチにも一生懸命だったよ。
あんなの視たら、あんなに必死に助けられたら、この先あの子を独りにして、あの子の孤独と引き換えに、ウチだけ幸せになはなれないって思ったの。
わかってる……きっと綺麗事だけじゃないよね。
嫉妬もするだろうし、喧嘩だってしちゃうかも。
でもね、大倉がウチの知らない所で独りで泣くくらいなら、それがずっと気になってしまうくらいなら、いっそ____
「自分達の選んだ道は、現世で中々理解してもらえないかもしれない。それでも真剣に考えて選んだ道だ。誰か他人を傷付ける訳じゃない。自分達の気持ちが大事なんだ」
クシャクシャの髪、大きなタレ目、唇はいつだってガサガサに荒れている。
ジャッキーはアタシの目をを真っ直ぐに捉え、言った。
「なぁ、弥生。これから先の人生、生きている間も死んだ後も、千年経っても一緒にいないか? 自分とマジョリカは、未来を、弥生を含めた三人で歩んでいきたいと思っている」
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