第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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さてさて、せっかく大和さんのお料理チャンネルを視たからね、材料メモって買い物行って、今夜は鶏肉のミンチとお豆腐でハンバーグを作ってみよう! 練習しとけば、いつかジャッキーさん()にお呼ばれされた時に、持って行くコトが出来るもの。 ジャッキーさんご家族に(弥生さんとマジョリカさんとヤヨちゃん!)みんなでゴハン! と、誘ってもらえたけど、死者であるマジョリカさんが一緒なら、集まる場所はオウチになるはずだ。 なんたって、霊能者でなければマジョリカさんの姿は視えない。 外食先で、僕らがマジョリカさんと話をしてても「だ、誰と話してるの……!?」と騒ぎになっちゃう可能性がある。 もしくは、同じお店にたまたま霊能者がいたとしても大変だ。 だってさ、マジョリカさんを視たら「この世のもとは思えない(ハイ正解!)美女がいるんですがーーっ!」と、やっぱり大騒ぎになっちゃうよ。 そういうのを考えたらホームパーティーが一番だ。 …… ………… それにしても、驚いたよなぁ。 まさか弥生さんとジャッキーさんが結婚するなんてなぁ。 失礼を承知で言えば、絶対無いと思ってた。 最初マジョリカさんは怒っていたし、弥生さんは身を引く気満々だった。 ジャッキーさんは二人の女性を傷付けまいと、自分自身を滅そうとまでしていたらしいし。 その状況じゃあ、弥生さんの想いが叶わないだけじゃなく、三人みんながバラバラになるところだったんだ。 それがまさか……ジャッキーさんとマジョリカさん、そこに弥生さんが加わって三人で未来を歩む事になるなんて……誰が想像出来る? すごい……力技だよな。 力技……か。 弥生さん達が真剣に考えて決めた事なのに、今の……イヤな言い方だな。 ああ、良かった……ここが自分の部屋で、今、僕一人で良かった。 三人が幸せになる事はすごく嬉しいのに、こんな言い方をしてしまって恥ずかしいよ。 誰にも知られたくないや。 僕は……僕はさ、きっと弥生さんは泣いてしまうと思ってたんだ。 なんだかんだ言って、ジャッキーさんはマジョリカさんを選ぶだろうって、そうなれば弥生さんは独りぽっちになっちゃうもの。 弥生さんは二人の前では笑うだろうけど、独りになったらめちゃくちゃ泣いて落ち込んで、なにも出来なくなっちゃって、誰かが傍にいないと壊れてしまうんじゃないかって、すごく心配だった。 だから僕が傍にいようって、弥生さんの為に、唐揚げとシチューとキッシュとパンを作ろうと思ってたんだ。 二人じゃ食べきれないくらい、いっぱい作って、次の日も、また次の日も一緒に食べて、なくなりそうになったら、また作って、そうやって毎日毎日一緒にいてさ。 途中、何度か思ったんだよな。 僕は弥生さんのコトが好きなのかな? って。 でもそのたび、はっきりとは分からなくて、好きは好きだけど、友情なのか愛情なのか曖昧で、それでも急いで答えを探す必要はないと思ってそのままにしたんだ。
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