第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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「大福ぅ!!」⇔『うなーーっ!!』 広げた両腕、そこに愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて(ry たまらない猫又が、ピョーンと華麗な跳躍で飛び込んできてくれた! ドンッ! と、ぶつかる重量級のダイナマイトボディ(見た目体重6kg)、ベルベットのようなツヤツヤふこふこの真っ白な毛皮、たっぷり干したお布団のようないい匂い、そして、この氷のようなひんやり感が……! 「大福ぅ!! 逢いたかったよーっ!!」 僕は愛しの猫又の、可愛い頭頂部に熱いぶっちゅーをする。 大福は『うなうな』鳴きながら、目を細め、僕の顎にぬりんぬりんと顔を擦り付けてくる。 あぁ……い、癒される……! 失恋の痛みが溶けていく……(そもそも始まってもないけれど) 「もうどこにも行かないでねっ! マイスィートハニー!!」 うなぁ、 大福はそうカワユク鳴いて、ざりーんざりーんと僕のほっぺをザラザラの舌で舐めてくれた。 ああ、久しぶりだ、大福の毛繕い(ほっぺに毛は生えてないけど)。 これ、あと数分もされてると、肌がヒリヒリ痛くなるんだ。 でもいいの、嬉しいから。 痛くなるまでがイチャイチャですからっ! 『あはは、岡村君の大福ちゃん好きは相変わらずだねぇ。ちょっぴり淋しいよ、私のコトも相手にしてもらえると嬉しいのだけどねぇ』 そんなん言って、ニコニコ笑ってくれるのは先代だ。 い、いかん! せっかく先代が来てくれたというのに、お茶も出さずに大福とイチャついてしまった! 「ご、ごめんなさい! あまりに久し振りだったからつい! ねぇ、先代! いつ現世(こっち)に戻られたんですか? 帰ってきてくれてすっごく嬉しい! いない間にいろんなコトがあったんです!」 うんうん、なんて穏やかに頷く先代は、傍にいてくれるだけで癒されて元気になれる。 嬉しいなぁ、本当に嬉しいや。 明日も仕事はお休みだし、今夜は泊っていってほしいなぁ。 「先代! 今夜は鶏肉のミンチとお豆腐でハンバーグを作ろうと思ってたんです! ぜひ一緒に食べてってください! それで……もし、良かったら……僕ん()に泊まっていってもらえればなぁなんて、あっ! もちろん都合が悪ければまた今度でいいんだけど、会えて嬉しいから、その、」 今日の今日でいきなり泊ってくださいなんて、勝手すぎたかな。 おずおずと上目遣いで返事を待っていると、 『鶏肉のミンチとお豆腐のハンバーグ? 健康的でおいしそうだねぇ。ごちそうになっちゃおうかな? それと……今夜は岡村君と大福ちゃんと私の三人で川の字ですかねぇ、ほっほっほ』 そう言って、シワの刻まれた顔をくしゃくしゃにして笑ってくれた。 「てことは……! やったね! お泊り会だ! んじゃ、僕ダッシュでスーパーまで行ってきます! 先代は大福とここで待っててください!」 ひゃっほーい! 今夜は先代独り占め! 大福も帰って来たし、最高に幸せだっ!
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