第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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『さて、私は霊力(ちから)の解放と言いましたが、解放されたらどんな事が出来るようになると思いますか?』 ニコニコと笑う先代は、ここで僕に質問を投げかけてきた。 霊力(ちから)の解放って言ったら……そりゃあ、今まで視えなかった幽霊が視えるようになったりとかじゃないの? 「そうですね……まず、霊の姿が視えるようになるのかな。それから声も聴けるから話が出来るようになって……あとは……あとは……霊刀とか霊矢とかパンツァーファウストとか武器の構築が出来たり、ジャッキー・〇ェンフィギュアに憑依して遠隔操作したり、思業式神を召喚したり……あと、失せ物探しも出来ちゃいます」 『んー、そうねぇ。間違っちゃいません。ぜんぶ合ってます。でも今言ったの、ぜんぶウチの子達のスキルじゃない』 そう言ってくしゃっと笑う先代は、ちょっぴり僕に呆れてそう。 えへへ、ごめんなさい。 「や、確かに。ついうっかり身近にいる、蓋オープンの人達が浮かんじゃいました。まんまウチの社員のスキルでしたね。でも、多少の違いはあるかもだけど、霊力ってそういうモノなんじゃないですか? 常人には視えないモノが視える、第六感が目覚めるのかなって思ってるんですが、」 『なるほど……では鍵君はどうでしょう。彼に死者の姿は視えませんよ?』 「あっ、そうだ。キーマンさんは視る事も聴く事も出来ないんだった」 『そうです。霊力(ちから)の解放によって、必ずしも死者の姿が視えるようになるとは限りません。ま、視えるようになる人は多いけれど。……ふふふ、答えはわかるかな? ちょっと難しいいかもしれませんねぇ。こんなクイズ出すなんて、私ってイジワル! ふふーっ!』 な、なんか、先代、めっちゃ嬉しそう。 思い出した……すごい前にも先代にクイズを出されたがコトあったよ。 あの時も、『わかるかな? わかるかな?』ってはしゃいでて、でも簡単すぎて、答えがすぐにわかっちゃってさ、正解言ったらガッカリさせそうで何て答えていいか困ったんだよなぁ。 だけど今回のクイズはマジムズイっす。 先代……本気だな。 よし! 僕、真剣に考えるからね! 『ふふふ……ねぇ、岡村君。難しい? 泣きそう? もう考えてもわからないんじゃない? 降参する?』 えぇ! 早っ! もうコレ答え言いたくて仕方ないんじゃないの? でもま、いっか。 なんだか先代楽しそうだ。 「はい、もう、めちゃくちゃ難しくてわかりません。降 参 で す 。お願いします。答え教えてクダサイ」 若干の棒読み感が否めないが、降参ですよ!  ってトコはバッチリ強調しておいた。 僕にぬかりはないはずだ。 その証拠に、 『ああん! もう降参なの? やっぱり難しかった? ふふ、んもー、仕方がないですねぇ。教えてあげますっ』 と、スィートポテトをお出しした瞬間くらいのイイ笑顔。 そのすぐ横では、溶けたお餅のように伸び切った大福が、ぷすーぷすーと寝息を立てている(キャー! スーパーキュートー!)。 先代も大福もダブルで可愛いもんだから、自然と顔がニヤけてしまう。 『正解は……”その人を傷付けるストレスに対抗出来るようになる! 霊力(ちから)は、その為に必要な能力を創り出す”、でしたー!』 ストレスに対抗する為の能力を創り出す……? ど、どうしよう。 答え聞いたら、かえってわからなくなっちゃったよ。 ちょ、すいません。 もう少し詳しく説明お願いします。
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