第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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『マザースターは電気を主成分とした惑星です。その電気は地球のものとは似て非なり。マザースターフレアは、惑星の電気を……いや、霊力(ちから)の塊を地球まで飛ばします。着地点はその時々。日本の時もあれば、別の外国の時もあります。宇宙から来た霊力(ちから)がどこかの大地に落ちれば、そこはただの大地から霊力(ちから)を含んだ霊地になる。パワースポットと呼ばれる地のいくつかはマザースターフレアの影響を受けています』 パワースポットって、そこの土地神様が仕切っているだけだと思ってた。 マザースターが作ったスポットもあるんだな。 でもこれで解った。 ”希少の子”がどうやって生まれるのか。 「マザースターの霊力(ちから)が大地に落ちれば、そこはパワースポットなる……てことは、人に落ちれば、霊力(ちから)は落ちたその人に宿るんですね? 僕や瀬山さんはマザースターフレアの直撃にあったってコトだ!」 この解答には自信があるぞ。 きっと先代は『はい、ご名答』と言ってくれるはず。 僕は褒められ待ちで、白髪のおじいちゃんをチラチラ視てると…… 『ああん、惜しい! 九割正解!』 とおおはしゃぎだ。 てか先代って、僕が正解を言うよりも外した方が嬉しそうなのよね。 「九割? ほぼほぼ正解だ。じゃあ残り一割はなにが違うんです?」 土地ならパワスポ、人なら”希少の子”じゃないの? 『人に落ちたら、というのは合ってます。ただ、落ちた人なら誰でも”希少の子”になる訳ではありません。すでに生まれ、身体が外にある人は、いくら霊力(ちから)が落ちても”希少の子”にはなれないのです』 「すでに生まれ、身体が外にある人はダメ……?」 なんのこっちゃ? わかるようでわからない。  頭の中にハテナマークが飛んでいる。 『そう、すでに誕生済みという事は、身体の中に誰もが持つ、”霊力(ちから)の箱”も完成されています。イコール、その人が持てる霊力(ちから)の量はこれだけですよ、という容量制限がかかっているんです。例えばですが、個々により、容量がバケツ一杯分の人もいれば、大型トラック一台分の人もいます。大型トラックの人なら霊力(ちから)を受け入れられるか? と言ったら答えは否で、マザースターの霊力(ちから)はそんなもんじゃない。どんなに大容量の箱を持つ人でも入りきれません』 「容量制限か……確かに、バケツに海の水が全部入るかっていったら、とてもじゃないけど無理だ。ジャージャー溢れちゃいますもんね。しかし例えとは言え大型トラックでも入りきらないのか……マザースターの霊力(ちから)って、メガ盛りレベルの量なんですねぇ」 なんて僕が感心していると、先代は先生よろしく大きく頷いている。 まるで『ここはテストに出ますよー』とか、そんなセリフが続きそうな雰囲気だった。
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