第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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『マザースターの霊力(ちから)を受け入れられるのは、まだ身体の中の箱が完成していない生者だけです。岡村君、それはどんな生者なのかわかりますか?』 箱が完成していない生者……? さっき先代は言っていた。 ____すでに生まれ、身体が外にある人は、 と。 「……という事は、まだ生まれていなくて、身体が外にない人(・・・・・・・・)だ。それって……お母さんのお腹の中にいて、これから生まれる赤ん坊ですよね」 僕がそう答えると、先代はまたも『はい、ご名答』と、にっこり笑ってくれた(ただし正解を言っちゃったので、はしゃいではいないけど)。 『そうです。お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんは、まだ身体の中に箱はありません。この世に生まれる前に、マザースターからの霊力(ちから)が落ちてくれば、すでに箱を持っているお母さんではなく、中の人に霊力(ちから)が宿ります』 「じゃあ……僕も瀬山さんも、お母さんのお腹にいた頃に霊力(ちから)を得たんだ」 『その通りっ!』 ビシッと僕に向かって指をさし、なにやらキメポーズを取る先代。 その横で大福はまだまだ夢の中にいるようで、時折『ふごっ』と渋カワイイ声をあげていた(緊張感のないお姫様がダイスキです!)。 「”希少の子”がどうやって生まれるのか、今のお話でわかりました。……あのー、先代。もし間違ってたらすみません。”希少の子”って……”選ばれし者”というより、”偶然たまたま当たっちゃった者”って感じがすごいするんですけど……」 だって、ねぇ。 遥か遠く離れた惑星が小爆発を起こしてさ、そのエネルギーが宇宙を渡り地球に落ちる訳でしょ。 その落ち場所も、その時々によって超ランダムだし。 『ふふふ、わかっちゃった? そうなの。”希少の子”はね、超偶然の積み重ねの成せる技。しかも宝くじの一等に十年連続当たるくらいの、低---い確率で生まれるの。瀬山一族は”百年に一度”生まれるかどうか、なんて言ってるけど、ホントにそのくらい。”希少の子”になれるのは、マザースターに大きな爆発が起きた年に、たまたまお腹の中にいて、たまたまピンポイントでうまい具合にズレる事なく霊力(ちから)が落ちてきた、という偶然に当たった人なんです。さっき、岡村君が三十才だから”希少の子”なんですよって言ったのは、マザースターの大きな爆発が直近だと三十年前だったから、なのよ』
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