第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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うぅ……考えたってわからないよー。 だって僕の中の真珠の知識は、冠婚葬祭、白くて丸くてツヤツヤ……以上! なんだもの。 行き詰った僕は先代をチラリと視る。 ヒントのおかわり、もしくは答えを教えてほしいのに、『もうちょっと考えてみなさいよー』とイジワルだ。 ……仕方がない。 こうなったらグー〇ル先生に聞くしかないだろ。 「ムリです、もうぜんぜんわかりません、かくなるうえは文明の利器に頼りますっ!」 考えても答えが出ない、そう判断した僕は、床に投げたままのスマホを手に取った。 すると先代は『ああん、スマホ(それ)使うのはズルでしょー!』とジタバタするけど知りません。 検索ワードに【真珠】【希少の子】【ストレス】と入れたいトコだけど、”希少の子”なんて入れたところで、ヒットするはずがない。 なのでまずは【真珠】のみで検索してみる……と。 「うわぁ、キレイだなぁ。てか知らなかった。真珠って白だけじゃないんですねぇ。なになに? 白に薄青、ピンクに……わぁお! 黒とか金色もあるのかぁ! 石言葉は……って花言葉みたいなものか? 健康、富、長寿、清潔、素直……良い意味ばっかりだ。……だけど、これだけじゃわからないよ」 検索結果をさらにスクロールさせる。 すると、どうやって真珠がうまれるかが書いてあるサイトを見つけた。 さっそく僕はそれを読む。 「真珠が海で獲れるというのは知ってるぞ。貝の中にあるんだよね。……えっと、」 説明文の中身は要約するとこうだった。 真珠、貝の中で作られる宝石。 貝の中に偶然入り込んだ異物(小石とか微生物とか)を、中の膜が時間をかけて何層にも包み込む事で出来上がる。 「へぇ、真珠の核って小石とかなんだ。貝って表面は殻で硬いけど、中身は柔らかいよねぇ。そこに尖った石が入ったら……やだ痛そう。そっか、貝も痛いから身体を守る為に膜でグルグル包み込むのね。痛くなくなるまで、尖った石が滑らかになるまで、包んで包んで包みまくって……」 独り言ちる中、僕の中にストンと落ちるものがあった。 そうか……貝は”希少の子”なんだ。 そして異物はストレス、すなわちココロの痛み。 それを受けた時、身体の中で、おそらく霊力(ちから)が傷を包み込む。 包んで包んで包みまくって、それ以上傷付かないように、丸く滑らかなモノに変えてしまうんだ。 僕に落ちた答えを先代に告げる……と。 『んもー、正解』 そう言って先代は、プリプリしながら頬を膨らませた。
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