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「辛い事や悲しい事が霊力で包まれると、少しは楽になるんでしょうか……? もしかしたら僕の中に霊力の塊が出来上がってたのかもしれないけど……だからって楽になったーとか、そんな感じは全然なかったんですよねぇ、」
同じ状況で塊があるパターンと無いパターン。
比べる事が出来ないので何とも言えないけど、先代は聞けばなんでも答えてくれるような気がしてダメ元で聞いてみる。
『やだ……岡村君も? 瀬山さんも同じ事を言ってました。生前、身体の中でそんな事が起きてたなんて知らないし、最愛の女性を失ってからというもの、毎日毎日、死ぬ少し前までずっと辛くて苦しかった、楽な日など一日も無かったと。だからね、そういう仕組みになっていたと聞かされた時は首を傾げたそうです。黄泉の先人曰く、傷が霊力に包まれれば癒され楽になるはず、との事なんですがねぇ』
「ふぅん……効果は個人差があるのかなぁ? 僕も瀬山さんと同じで、ぜんぜん楽にならなかったですよぉ。泣いちゃう弥生さんとマジョリカさんを視て、一緒に泣きたくなりましたもん」
特に”痩せ我慢をさせたら日本一”な弥生さんを見てるのはキツかった。
ボロボロなのに笑うとか反則だろ。
『そ、そんなに? やぁ、申し訳ない。本来マジョリカちゃんは、弥生ちゃんだけいれば良いと言ってたの。でもねぇ、それじゃあ心配でしょう? 女の子同士でケンカになっちゃうと思ってねぇ。だから岡村君に同行するようお願いしたのよ。私ね、岡村君以外考えられなかった。だってほら……もし同行者が清水君や水渦ちゃんだったら、話がこじれそうじゃない』
た、確かに。
____なにぃっ! ジャッキー結婚してたのかよっ! 聞いてねぇぞ!
____しかもアンタ17才ってか! ユリより年下じゃねぇかあっ!
____パスタッ! ダビンチッ! トマトソースッ!
マジョリカさんはイタリアの方だからね、あのピカピカはイタリア関連の知ってる単語並べると思うの。
____そもそも、愛だの恋だのは汚物です、
____たかが汚物に執着し、汚物に翻弄され、汚物に涙する、
____はぁ……愚者としか言いようがありませんね、
愛! 恋! 友情! そういうのを片っ端から否定する水渦さんは、マジョリカさんが泣いても責め立てそう……ひぃ……ガクガクブルブル
……
…………無理、想像だけで胃がキリキリしてきたよ。
『ね? 岡村君で良かったでしょう?』
「はい……自分で言うのもなんですが、まだ僕で良かったのかも」
僕と先代は目を合わせ、「ははは」と力なく笑った。
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