第十七章 霊媒師 持丸平蔵

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それから僕達は、夜も遅くまでたくさんお喋りをした。 霊力(ちから)の話は一通り終わったからと、みんなの話から黄泉の国の話まで、何度も脱線しつつも話は尽きず、気が付けば窓の外は明るくなりかけていた。 「……ん、今って何時? 久しぶりに徹夜なんてしちゃったな。さすがに眠くなってきた……けど、もったいない、まだ寝たくない……先代と遊びたいぃ」 沈没寸前のヤヨちゃんかってくらい眠くてフラフラ。 気持ちはもっと話していたくて土俵際で踏ん張るけれど、僕の瞼はくっつきそうで、そろそろヤバイ。 『んもー、子供じゃないんだから、眠いなら無理せず寝なさいよ。ほら、ベッドに入って、布団かけて。私はテキトウに帰るから……って、ぷぷ……! 岡村君、私の服を掴むのはやめなさい』 半笑いで呆れる先代。 その声は後半、だんだん遠くになっていく。 「先代……朝ゴハン……一緒に食べましょ……僕……作るんで……だから帰らないでここにいて……むにゃあ」 半分以上意識が飛んでる、だけど先代を引き止める。 夜があまりに楽しかったから、朝起きていなかったら淋しもん。 せめて朝ゴハンだけでも……おーねーがーいー 『ああん、もうわかりましたよ。岡村君が起きるまで部屋にいますから、だから安心して少し眠りなさい。まったく……こんなに手がかかる子なんて知りませんんでした。やれやれ、』 えへへ……ごめんなさい……先代ダイスキ……だからいてね、ここにいてね、 『ま、手のかかる子ほどカワイイと言いますからねぇ。岡村君は私の三男だから仕方ありません。……岡村君、……修行、頑張ろうね。……私の知ってるコト……みんな教えて……あげるから……』 ああ……だめ……もうもたない……寝ちゃう……先代の声が切れ切れになってきた…… 『……岡村君の……霊力(ちから)……ある程度で……止めてしまわないと……私が……止めます……キミを……守り……ます……か……ら』 ……? 霊力(ちから)を止める……? なにを言っているのかわからない。 聞こうとしたのに……それは叶わなかった。 睡魔はもう待ったなしで、僕は深い眠りの中に落ちてしまったからだ。 …… ………… ………………先代の謎のコトバ、 その意味を知ったのは、もっとうんと未来になってから……だった。 霊媒師 持丸平蔵__了
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