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「ちょっと待ったー!」
「ホワッツ?」と僕を見るキーマンさんはともかく、ビクゥッとしてる嵐さんに「ゴ、ゴメン」と謝りつつも、どーしてもな疑問をぶつけた。
「さっきからキーマンさん、嵐さんのコトを”ジェーン”、”キャサリン”、”ドミニク”って呼び方がコロコロ変わるのってなんなんですか? てか全部、外国の女性の名前でしょう?」
僕の質問に二人は一瞬ポカンとして、だけどすぐに笑い出した。
答えてくれたのはキーマンさんで、
「ジェーンの呼び方のコトか。umm……気になるか? それはなチェリーボーイ。キャサリンの名前が嵐だからだ。外国のニュースで聞いた事があるだろう? 嵐が来るたび、とびきりセクシーなレイディネームをつけるのを」
だからチェリーボーイはヤメ(ry
「とびきりセクシーかは知らないけど、ハリケーンに女性の名前を付けるのは聞いた事があります……って、それかーっ! だから”ジェーン”、”キャサリン”、”ドミニク”なんだー! てか、なんで三種? 一人の女性名でいいじゃないですか」
僕がそう突っ込むと、キーマンさんはチッチッと人差し指を左右に振った。
「ノン、チェリーボーイ。ハリケーンは来るたびネームが変わる。イコール、ドミニクを呼ぶ時だって、チェンジしなけりゃおかしいって話さっ! だから俺は、”ジェーン”、”キャサリン”、”ドミニク”、これをターンしながらコールするんだよ。アンダスターン?」
「ア、アンダスタン」
もうね、こう答えるしかないでしょ。
キーマンルールでは、ハリケーンに見立てた嵐さんを、三つの名前でローテーションさせて呼んでいる(てか惜しい! ハリケーン絡んでた!)。
ややこしっ! って思うけど、嵐さんは不便を感じてないみたいだし、仲良し二人がそれでいいなら、ま……いっか。
「……クスクス、」
小さな笑い声。
横を向いた嵐さんが、僕とキーマンさんの会話を聞いて、小さく肩を震わせていた。
……なんだろ、嵐さんが笑うと嬉しいや。
「キーマン! 嵐! エイミー! 今回の現場、説明すっからコッチ来い!」
社長の大声が男三人を呼びつけた。
現場の説明、この中に僕も含まれているというコトは……先輩霊媒師達に同行させてもらえるというコトだろう。
マジョリカさんの口寄せ以来、久しぶりの現場だ。
しかも今回、スリーマンセル。
キーマンさんと嵐さん、初めて組むメンバーだ。
足を引っ張らないようにしなくっちゃな……僕は密かに気合を入れた。
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