2367人が本棚に入れています
本棚に追加
◆
「今回の依頼は失せ物探しだ」
事務所の真ん中。
社長を中心に、僕ら男四人は近くのテキトウなデスクに座り、顔を突き合わせていた。
「失せ物探しか。なら俺のターンだな」
キーマンさんは依頼内容を聞いて、余裕の笑みを見せた。
た、確かに。
失せ物を探し出す能力は、瀬山の霊媒一族が束になっても敵わないと、先代が言っていたもの。
「キーちゃんがいればすぐに見つかるね」
嵐さんは、依頼内容がキーマンさんの得意分野とわかり、目をキラキラさせている。
もしかして、仲良しのキーマンさんが活躍するのが嬉しいのかな?
やだっ……!
めっちゃ良い子じゃない……!
「ああ、キーマンがいれば瞬殺で見つかるだろう。だがな、今回の現場は見つけるだけじゃダメなんだ」
タブレット端末の画面を見ながら、社長は真面目な顔で言った。
てことは、失せ物探し+ナニカ……ってコトなのかな?
キーマンさんと組む嵐さんが、一体どんなスキルを持っているのか分からないので、”ナニカ”の中身の予想がつかない。
これがもし弥生さんや水渦さんとのツーマンセルなら、悪霊がらみかなって思うんだけどね。
「I see, I see。それでディス タイム俺とジェーンのツーマンセルなんだな。アゥイエ! 70%はアンダスタンだ」
キーマンさん、さすがだ。
社長はまだなにも言っていないのに”ナニカ”の予想がついたみたいだ(しかも七割も!)。
隣の嵐さんも、小さく頷いている。
「社長、この打ち合わせに僕も参加してるってコトは、現場に同行させてもらえるんですよね? どういう依頼内容なのか、もっと詳しく教えてください」
今回僕は、キーマンさんと嵐さんのオマケとして同行するのだ。
メインの二人が「大体わかっちゃいました」となれば……社長のコトだ。
途端、説明が雑になる可能性がある。
そうなる前に「くわしく!」と言っておいたほうがいい。
「わかった。ま、エイミーはそうなるよな。キーマンのスキルは知ってても、嵐のスキルは何もしらねぇんだから。キーマン、嵐、この現場、本来おまえらツーマンセルの予定だが、エイミーも連れてってやってくれ。コイツは新人だが、霊力は強い。ある程度の印は結べるし、霊矢を撃つコトも出来る。いても邪魔にはならねえはずだ」
社長の言葉に二人は、大きく(キーマンさん)小さく(嵐さん)頷いた。
「ヨシ、頼むな。じゃあ依頼内容を説明するぞ。依頼内容、失せ物探し、プラスアルファ。まずは依頼主の名前からだ、」
そこから三十分。
急遽組まれた僕達スリーマンセルは、依頼の詳しい説明を聞いたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!