第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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◆ 「今回の依頼は失せ物探しだ」 事務所の真ん中。 社長を中心に、僕ら男四人は近くのテキトウなデスクに座り、顔を突き合わせていた。 「失せ物探しか。なら俺のターンだな」 キーマンさんは依頼内容を聞いて、余裕の笑みを見せた。 た、確かに。 失せ物を探し出す能力は、瀬山の霊媒一族が束になっても敵わないと、先代が言っていたもの。 「キーちゃんがいればすぐに見つかるね」 (らん)さんは、依頼内容がキーマンさんの得意分野とわかり、目をキラキラさせている。 もしかして、仲良しのキーマンさんが活躍するのが嬉しいのかな? やだっ……!  めっちゃ良い子じゃない……! 「ああ、キーマンがいれば瞬殺で見つかるだろう。だがな、今回の現場は見つけるだけじゃダメなんだ」 タブレット端末の画面を見ながら、社長は真面目な顔で言った。 てことは、失せ物探し+ナニカ……ってコトなのかな? キーマンさんと組む(らん)さんが、一体どんなスキルを持っているのか分からないので、”ナニカ”の中身の予想がつかない。 これがもし弥生さんや水渦(みうず)さんとのツーマンセルなら、悪霊がらみかなって思うんだけどね。 「I see, I see(なるほどなるほど)。それでディス タイム(今回)俺とジェーンのツーマンセルなんだな。アゥイエ! 70%はアンダスタンだ」 キーマンさん、さすがだ。 社長はまだなにも言っていないのに”ナニカ”の予想がついたみたいだ(しかも七割も!)。 隣の(らん)さんも、小さく頷いている。 「社長、この打ち合わせに僕も参加してるってコトは、現場に同行させてもらえるんですよね? どういう依頼内容なのか、もっと詳しく教えてください」 今回僕は、キーマンさんと(らん)さんのオマケとして同行するのだ。 メインの二人が「大体わかっちゃいました」となれば……社長のコトだ。 途端、説明が雑になる可能性がある。 そうなる前に「くわしく!」と言っておいたほうがいい。 「わかった。ま、エイミーはそうなるよな。キーマンのスキルは知ってても、(らん)のスキルは何もしらねぇんだから。キーマン、(らん)、この現場、本来おまえらツーマンセルの予定だが、エイミーも連れてってやってくれ。コイツは新人だが、霊力(ちから)は強い。ある程度の印は結べるし、霊矢を撃つコトも出来る。いても邪魔にはならねえはずだ」 社長の言葉に二人は、大きく(キーマンさん)小さく((らん)さん)頷いた。 「ヨシ、頼むな。じゃあ依頼内容を説明するぞ。依頼内容、失せ物探し、プラスアルファ。まずは依頼主の名前からだ、」 そこから三十分。 急遽組まれた僕達スリーマンセルは、依頼の詳しい説明を聞いたのだった。
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