第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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聞いてみようかな……と思ったんだけど、なにしろ前の座席は盛り上がっているのだ。 (らん)さんもすごく楽しそうで、ジャマするみたいで話しかけにくい。 これは少し待って、二人のお喋りが一区切りついたタイミングでいくのがベストだろう。 大丈夫、退屈じゃあない。 だって僕には愛しの猫又、大福餅が……って、寝てるーー! 後部座席でまん丸になって、ふわっふわのアンモニャイトがぷすーぷすー言っちゃってるんですけどーー! さっきまで二尾のしっぽをフリンフリンさせながら窓の外を眺めてたのに。 ははーん、さては飽きたな? 大福に遊んでもらうつもりがあてが外れた……いや、そうでもないか。 だって寝顔がチョー可愛い。 ちっちゃい鼻と大きな耳がまっかっか、ついでに肉球もまっかっか(正確にはピンクだけど)。 こんなにキュートな生き物を、こんなに間近で見れるなんてサイコー! 下手すりゃ永遠に眺めていられる。 なんだ、まったく問題なかったよ。 キーマンさん、(らん)さん、思う存分お喋りしてくださーい。 エンジェルすぎるアンモニャイトプリンセスを(情報が渋滞してる)、ナデナデしつつ、なんとなくキーマンさんと(らん)さんのお喋り聞いていた。 「ところでキャサリン。ブラァシュ(赤面症)はまだオーバーカミング(克服)出来ないのか? ……おっと、気を悪くするのはナシだぜ? もしノットオーバーカミングなら良いアイテムがあるんだがな、」 むぅ……”ブラァシュ”の意味がわからないけど、話の続きから推測するに”顔が赤くなっちゃうコト”に関連するのかな? 「気なんか悪くしないよ、大丈夫。それで……? 赤面症に良いアイテムってなに……? そんなのあるなら教えてほしいな」 「OK、そうこなくっちゃ。ラスト ウィーク(先週)だ。俺が商品(カワイ子ちゃん)の買い付けに卸問屋に行った時、ボーイもガールもスーパーキュートになるコスメティックの中に、コントロールベースというアイテムを見つけたんだ」 コントロールベースってなに? もうね、キーマントーク難易度高い。 ついていくのに気が抜けない。 「コントロールベースって……女の人の化粧下地のコト?」 「ビンゴ! コントロールベースも色んなカラーがあってな、その中でも……グリーンが良いんだ!」
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