第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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化粧下地って、弥生さんに聞いた事があるぞ。 ファンデーションをつける前に塗るヤツだよね。 てか、グリーン? そんなんつけたら、かの有名なピッ〇ロ大魔王さんみたいになるんじゃないの? それ、赤いより恥ずかしいんじゃないの? 「キーちゃん、本当にグリーンで赤いの隠せるの? なんかピンとこないなぁ」 んー、なんて首を傾げる(らん)さんに、キーマンさんはこう答えた。 「イェアァ……ノープロブレムだ、ドミニク。すでに俺がトライ済だからな」 「え? だってキーちゃんは、顔赤くならないのに?」 「まぁな。だが、ジェーン。俺はやった。グリーンのベースをつけた後、ミラーの前で、過去のあらゆる恥ずかしかったイクスピアリエンス(経験)を思い出して、悶絶し、リンゴフェイスになるまで諦めなかった」 ウソ……(らん)さんの為にそこまでやったの? キーマンさん、変わってはいるけど良い人だよな。 「そのリザルト(結果)……アゥイェア! 俺の顔はオーバーヒートでアッポーのようだった! なのにミラーに映る俺は赤くない! グリーンがレッドを抑えたんだっ! 効果はある! だからキャサリン、レッツトライだ!」 ヒーーーーハーーーーーッ! よくわからないけど、ハイテンションで叫ぶキーマンさん(だけど運転は丁寧なまま)。 (らん)さんは、「キーちゃん、声が大きいよ」と笑ってる。 そのグリーンの下地が、どれほどの効果があるのかわからないけど、それでもキーマンさんは(らん)さんの為に、わざわざ買ってまで実験したんだ。 その気持ちだけでも充分にありがたい話だよ。 バックミラーに映る(らん)さんは、目は真っ赤なのにとても嬉しそうな顔をしていた。 そんなこんなで、僕達を乗せた車は今、ウィンカーが出され、ゆっくりと左に流れていく……高速道路入口だ。 これに乗って数時間もすれば、目的地である斎藤様宅に到着するのだ。
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