第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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アンビリーバボー(信じられないか)?」 ハンドルを握り、真っ直ぐ前を見るキーマンさんは、戸惑う僕になんだか楽しそうだった。 「ん……そうですね。ネットの世界にダイブ、というのが具体的にどんなモノなのか分からないので、そういった意味では疑問に思います。でも信じますよ。だって、ウチの会社の人達のスキルを散々視てますからね」 言いながら僕は、後部座席で窓にへばりつくゴキゲンな幽霊猫を眺めていた。 しっぽの先がフタマタに分かれ、一本だって可愛いしっぽが二本だなんて、すこぶるお得感だ。 (らん)さんのネットにダイブって、一体どのくらいのコトが出来るんだろう? 調べものとかするみたいだから、検索と結果の閲覧は可能なんだろうな。 スマホやパソコンがなくても、ネット回線やプロバイダー契約がなくても、直接ネットの閲覧が出来る……下世話な話、料金もかからないとなると……や、ちょ、すごい便利、大福のフタマタしっぽばりにすこぶるお得感! 「僕……(らん)さん起きたら、そのスキルについて詳しく教えてもらいます。もし僕も習得出来たら……家のネット回線、すぐに解約するんだ!」 「ワァオ! デザイア(欲望)の塊じゃないか! だが、嫌いじゃない。俺に霊力(ちから)があれば同じ事を言うだろうからな!」 あははは、なんて笑い合ったそのすぐ後、ちょっと古めなカーナビの、案内アナウンスが流れだしたのだが…… 【そろそろ目的地だよ! 忘れ物はない? 社用タブレットは持った? んもー、あんたはウッカリだから心配になっちゃう。 ……あ……チ、チガウ! ……ご、誤解しないでよ? ミクはただのお隣さん、ただの幼馴染なの! べ、別にあんたのコトなんか好きじゃないんだからねっ!】 と、ハンパない萌え声が目的地付近だと教えてくれた。 え……? これ、どこのメーカー?  いや、今、いろんなカーナビあるけどさ、アナウンスに声優さんを起用する事だって珍しくはない。 でも無駄な喋りが多すぎない? 後半のセリフ、いる? 「キ、キーマンさん、このカーナビ、途中までは普通の声が無駄口叩かず喋ってましたよね? なんでいきなりこうなっちゃうの?」 前に水渦(みうず)さんの運転で、神奈川の現場に行った時はカーナビ自体を使わなかった。 水渦(みうず)さんは道をよく知っていて(友達がいないから暇な時はゼン〇ンばっかり見てるらしい。てかなぜ地図チョイス?)、彼女の選んだルートで行ったからだ。 なので、不意打ちの萌え系ツンデレにちょっとビックリしちゃったよ。
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