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ため息を呑み込んで、見惚れていたら『帰りますか』と言いそびれ、俺はバカみてぇに艶髪を視てたんだ。
『ソレガシーさん、』
僅かに流れた短い沈黙、それを終わりにしたのは白雪だった。
分かってる、きっとこのあと言うんだろ?
”そろそろ帰りましょうか”って。
楽しい時間はコレで終わり、……と思っていたが、白雪が口にしたのは俺の予想とは真逆の事だった。
『ソレガシーさんに用事がなくて良かった。あのね、私も今日は用事がないの。もしイヤじゃなかったら、もう少しお話いいかしら』
『え……? …………あ、ああ、いや、あ……っと、もちろんであります、』
意外だった。
白雪がソレガシーを引き留めた。
”楽しい時間”は延長で、まだ少し話していられる。
それは俺も望んだ事で、だがしかし、嬉しいと思う反面……複雑な気持ちも湧いたんだ。
今の俺は銀髪碧眼、参考モデルは地球のヒト族だ。
白雪は、こういう男が好きなのか?
引き留められたのはソレガシーであってバラカスじゃねぇ。
今、白雪はバラカスの事など忘れてる。
勝手だな、そう思ったら帰りたくなったんだ。
これ以上”ソレガシー”と一緒にいさせたくねぇ、なんてよ。
天を視れば降ってきそうな星空で、そこかしこで星が輝く……俺は小せえな。
くだらない嫉妬だとは思うけど好きなんだから仕方がねぇ。
なんにも知らない白雪は、子供みてぇな無邪気な顔で、
『良かった、嬉しいわ。ソレガシーさんと会ったのは今日が初めてだけど、初めてな気がしないの』
そりゃそうだ、俺達は100年前から知っている。
『それにお話してると楽しい。時間を忘れてしまうくらいに。……それでね、あの、ごめんなさい、今更思い出したの』
なにをだ?
『ソレガシーさん、昼間に私に聞いたでしょう?”バラカスって男を知ってるか?”って。バラカスがどうかしたの? 思い出したら気になっちゃって、それで、そのお話をしてくれたらなぁって』
あ……そうか、
ソレガシーを引き留めたのは、バラカスの話を聞きたかったのか、ソレガシーに隠れる俺の話を。
勝手だな、そうと知ったら帰りたくなくなった。
気持ちを探るチャンス……だ。
『白雪女史、御意であります』
地には夜光花が咲き溢れ、淡く優しく光を放つ……が、こんなんじゃあ白雪の顔がよく視えねぇ。
俺は指を2回鳴らして灯りになるモノを構築した。
『ソレガシーさん、それは?』
興味を持った白雪が俺の手元を覗き込む。
『これはライブの時によく使う、サイリウムのスティックライトでありますよ。最初は光らないのですが、ほら、こうすれば』
プラスチックの細長いスティック状。
地面に斜めに押し当てて、そこに軽く体重をかける……と。
ボゥ……
スティックを折ってやれば、途端に優しく光り出した。
『わぁ……キレイ』
2本のスティックのうち1本を白雪に渡すと、嬉しそうに視つめていた。
光の色はもちろん白だ。
白雪の白、白黒パンダの白。
俺の中では2人の色だからな。
★挿絵は鳴上鳴さま💕
https://estar.jp/users/137817582
ヒト型バラカス、カッコイイ✨
後ろの本体もカワイイのであります( *´艸`)
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